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韓国映画の復讐モノの一つとして考えれば、目新しい視線であると思うし、韓国特有のキリスト教モノとして考えれば、至極象徴的な感じもする。 しかしそんなことよりも、女性不信の残忍な青年のマザコンという矛盾と、母性を利用してある目的を果たそうとする女の、自身の母性に苛まれる矛盾という、何とも言えない倒錯感に少し驚かされる。 この2つの矛盾を描くにあたり、殆ど何も説明的なところなど無い。そのせいか、多少唐突感に襲われるが、かといってとんでもない違和感もない。結局は、くどい演出を避けているためであって、それ故に二連発のラスト、すなわち「墓の中身」と「血をひきずる車」が、ガツンと響いてくる。 この映画では、「母」という存在に、よく描かれる「無償の愛」みたいな甘いところなどない。どちらかと言うと、その不気味さが強調されている。 この、腹に沈殿するような後味の悪さが、監督の意図なのであろう。その点では凄まじい映画であると思う。
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