
cocoa

The Son
Avg 3.5
ヒュー・ジャックマンと息子役のゼン・マクグラスが幸せそうに笑っているポスターは詐欺だった。 あの『ファーザー』のフロリアン・ゼレール監督の三部作の二作目。 映像は素晴らしく、しかし観ている者を重く苦しめる作風は健在でした。 ニューヨークで暮らす弁護士のピーター(ヒュー・ジャックマン)。 再婚したベスとの間に息子が生まれたばかり。 元妻ケイト(ローラ・ダーン)から連絡があり17歳の息子ニコラスの相談を受ける。 不登校のニコラスは「人生に潰されそうだ。父さんと暮らしたい。」と言う。 ニコラスを引き取り一緒に暮らし始めるが、ピーターの努力も報われず、不安定になっていく…。 これは世界共通に難しい問題だと思った。 両親の離婚で苦しむ思春期の息子。 周りと馴染めず友達もいない。 やりたいことも見つからず繊細な性格で傷つきやすい。 不登校になってどんどん内向的になる。 確かに自傷行為で急性うつ病の診断されたが、これは家族の愛情だけではどうにもできないと思った。 適切な医療機関と繋げ、その上で家族の寄り添いが必要と言われている。 最初はピーターはニコラスを逆撫でする 言葉ばかりだった。 学校に行かない選択肢はない!とか。 どう生きていくんだ!とか。 立派な仕事に就いているピーターが言える言葉は想像通りだった。 浮気して離婚して妻と息子を捨てたのは事実。 険悪だった夫婦生活を見ていたニコラスは不幸だったはず。 そんなピーターがかつて苦しんだ実父(アンソニー・ホプキンス)との関係性がわかってくる。 その実父は過去の話をされると「いい加減に成長しろ。情けないぞ」と返してくる。 結果的にはピーターも同じような過ちをしていることに気づくのです。 ラストに向けての展開はこの監督らしかった。 退院させて、と懇願するニコラスに対して主治医は「愛情だけでは治らない。懸命な判断をしてほしい」と言う。 一度は入院継続をお願いしてきた両親が、引き取りサインをして連れ帰って来た時は嫌な予感しかなかった。 さらに両親に笑顔でありがとうを言うニコラス。 その成長を喜ぶケイトとピーターだったが…。 数年後、息子がトロントの大学から帰省してきたのか。 明るい表情で「トロントは楽しい」と言う。 彼女と一緒に暮らす予定だとか、本を書いたから一番に渡したいとか。 それを喜ぶピーターの表情を見ていると真相は予想できてしまった。 愛する家族を亡くした者は生涯に渡って悲しみを抱えていく。 だから今の妻ベスがピーターを抱きしめながら…… 「辛くても傷付いても人生は続くの」と言うしかない。 演じるヴァネッサ・カービーも複雑な役どころがうまかった。 ピーターはやるだけのことはやったと思う。 それでも助けられないことはある。 もっと何かできたはずだ…そんな後悔を抱える家族は多いと言う。 見応えはあったが、とにかく重い。 三部作の最後は『Mother』らしい。 今から観るのを覚悟しなければならない。