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hanako

hanako

10 months ago

4.0


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Death in Venice

Movies ・ 1971

Avg 3.4

2025/4/27 “中年のおじさんが美少年に魅了されて死ぬ話”っていう雑な前知識だけで見てました。(すみません) 観終わって、名作たる由縁はとても感じた。あの時代のあの監督のあの瞬間のビョルン・アンドレセンでしか成立しない唯一無二の作品だわ。リメイク不可能。 ◆ 朝焼けの海から始まる冒頭のシーンは、絵画的な美しさに音楽の壮大さも加わり感動。靄がかかったようなベニスの景色も幻想的だし、現実離れしたこの物語と重なって象徴的。 中盤でおじさん(アッシェンバッハ)が欲望と理性のバランスを保つためにベニスを離れようとするのでビックリしたけど、トラブルでベニスに足止めになったことに喜びが隠しきれてない。ここの溢れる嬉しさの演技は素晴らしかった。笑 セリフが少ない作品だからこそ、演技が光りますね。 ◆ 美少年のタジオもタジオでアッシェンバッハに流し目や笑顔を送ってくるのだけど、もはやそれすらアッシェンバッハの妄想の可能性あるなと途中から思ってました。そもそもタジオは何者なのか。美と死の象徴的存在で、実在しないのかも。誰もが目を離せなくなるような美少年なはずのだけど、アッシェンバッハ以外の人たちは彼に対して至って普通の態度なことからも、アッシェンバッハ(またはビスコンティ)のフィルターを通したタジオしか見せられていないのだと思う。 ◆ 終盤は、アッシェンバッハが超えちゃいけないラインを超えないかというハラハラを楽しみました(←違う)。と思ってたら、まさか2人が言葉を交わすことすらなく終わるとは思わなかったので、これは予想外だった!とりあえず心の中でずっと思ってたのは「海水浴場で1人悶々とするこの挙動不審な中年、誰かどうにかしてくれ!」笑 理容室で若作りのメイクされたアッシェンバッハは、昔のドリフコントみたいで思わず吹いてしまったよ。(シーン的には笑えなくて、割と恐怖!だけどね…) ◆ 最後の有名なシーンは、絶対的な美しさに打ちのめされますね…若さと、“神の創造物たる自然の美しさ”。黒い髪染めが汗で流れてきていて「老い」の醜さを際立たせてましたね。こんな時でもマーラーの音楽は壮大で美しくて、そのギャップがなんとも言えなかったです。ラストの人気がなくなったビーチは、かつて繁栄を極めたベネチアが衰退していくまさにその最中にあるということを象徴していて、醜く朽ちていくアッシェンバッハとも重なり、老いと美しさというテーマを強く感じました。 ◆ この映画を成立させているのは何と言ってもビョルン・アンドレセンの美しさ…本当にため息の出る美少年でした。