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名脇役ジョン・キャロル・リンチの初監督作品で、2017年に亡くなった名優ハリー・ディーン・スタントン最後の主演作品となった2017年のアメリカ映画 ・ 神も信じない現実主義者である90歳のラッキー。結婚もせず生きてきたラッキー。そんな彼がある日倒れたこで「死」について考えはじめるといった内容。こういったオフビートなテンポの映画は好きだ ・ ヴィム・ヴェンダース監督の「パリ、テキサス」の主演で知られるハリー・ディーン・スタントン。それ以外はほとんど脇役で活躍した名バイプレイヤーだ。そんな彼自身の価値観や死生観を盛り込んだ内容で、これはハリー・ディーン・スタントンの遺書と言ってもいい作品だ ・ 「死」を恐れるラッキーの姿は本当に「死」を予感していたかもしれないスタントンそのもので、演技という領域を超えた演技であり、映画史に名を刻んだ俳優の最期の姿だと思うと泣けてくる。キラキラ輝く俳優という職業だけど、人はいつか亡くなる。俳優がラッキーなのは無くなった存在もスクリーンに息づくことだ。ジョン・ウェインだってジェームズ・ディーンだって今でもスクリーンで生きている。この作品に刻まれたスタントンの姿は永遠にカッコいい ・ 子供は「死」を意識しないからひたむきでまっすぐだ。「死」を意識して生きていくことはたやすいことではない。「死」を受け入れることもたやすくはない。ハリー・ディーン・スタントンという俳優は、その姿を見せつけた。この魂の演技に震えないわけがない。俳優として生ききったスタントンの最後の勇姿は最高にカッコよかった ・ スタントンはデヴィッド・リンチ監督作品にもよく出演していたが、そんなデヴィッド・リンチがスタントン演じるラッキーの友人役として出演しているのは驚いた。デヴィッド・リンチが好きそうな内容だし主演が盟友スタントンだから出演したのも納得 ・ 淡々と物静かなテンポで進む物語だからこそ、ラッキーがたどり着いた「死」と何か?という答えが心に響く。ラストのシーンも好きだし、台詞もいいものが多かった。ハリー・ディーン・スタントンの遺作。いや遺書をぜひ観てもらいたい
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