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アルフレッド・ヒッチコック製作・監督によって製作された1958年のアメリカ映画 ・ 犯人追跡中、同僚を死なせてしまったことに責任を感じ、刑事を引退したスコティ。気ままな生活を送っていたが、学生時代の知人エルスターに、近ごろ奇妙な行動が目立つ妻・マデリンの監視を依頼される。気乗りしなかったスコティだが、マデリンの美しさに惹かれて尾行を開始する…。 ・ 言わずと知れた「サスペンス映画の神様」、アルフレッド・ヒッチコック監督。当初は女性蔑視の作風などが批判されたりしていたらしいが、現在ではヒッチコックの傑作とされている作品だ。完璧主義過ぎる監督本人は“失敗作”と言っていたみたいだが、これは傑作と言っていいだろう。 ・ 冒頭でタイトルでもある「めまい」の前振りがあって、それからロマンス映画のような流れになり、伏線を忘れた頃に、サスペンスに戻すという手法。ミステリーではよくある展開だけど、こういうのはヒッチコックが教科書みたいなものだから、さすがだなって思う。 ・ スコティを演じたのは、「アメリカの良心」と言われたヒッチコックお気に入りの俳優ジェームズ・ステュアート。生涯、悪役を演じなかった彼は、ダンディでかっこいい。この作品では、ちょっと嫌な役立ったかな。二役をこなしたキム・ノヴァクは、50年代に人気を博したアイドル的な女優。色気があって素敵な女優だ。 ・ ヒッチコック映画と言ったら、高度な映画技法が有名だが、この作品で使われた超有名な「めまいショット」は、後にスピルバーグをはじめ、多くの人たちが真似した技術。被写体の周りをカメラが回るという撮影法も、この作品でヒッチコックが使い、多くの後人が真似をした。 ・ タイトル映像を「CGの父」と言われるジョン・ホイットニー・シニアが製作したことから、映画史上初めてCGが使われた映画とも言われている。作中のスコティが悪夢を見るシーンの表現はもはや芸術で、50年代にあの発想力を持っていたヒッチコックに脱帽した。 ・ このように、ヒッチコック作品には見所がやたらとある。撮影技術や演出技術だけに注目しているだけで面白い。そこにヒッチコック黄金期を支えたバーナード・ハーマンの音楽が合わさると磐石になる。ヒッチコック映画の音楽の使い方は神業だ。そして、必ず作中にヒッチコック本人が登場するというお楽しみもある。ヒッチコックの傑作に酔いしれながら、ヒッチコック捜しを楽しんでほしい。
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