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ひろ

ひろ

9 years ago

4.5


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Rhapsody in August

Movies ・ 1991

Avg 3.0

村田喜代子の芥川賞受賞小説「鍋の中」を、黒澤明監督・脚本・編集によって映画化した1991年の日本映画 ・ 夏休み。長崎から少し離れた山村に住む老婆・鉦の許に4人の孫たちがやってきた。都会の生活に慣れた孫たちは田舎の生活に退屈を覚えながらも、長崎の街にある戦争の傷跡や鉦が話す昔話を聞いて、戦争に対する考えを深めていく…。 ・ 何度も泣いた。日本人に生まれたからには忘れてはいけないこと。原爆を落とされたこと。戦争をしたこと。そういう重たいテーマはみんな避ける。描いたとしても恋愛に逃げたりする。自らも戦争を体験した黒澤明が描く反戦・反核には生ぬるさがない。 ・ ここまではっきりと反戦・反核を描いた日本映画はなかなかない。あまりにも露骨に描いているから賛否があったのは仕方がない。それでもこういう映画は観ないといけないと思う。原爆で家族を失った遺族の気持ちや、その気持ちを受け継ぐ孫たちの姿に涙が止まらない。 ・ この映画がきっかけでアメリカの都市から長崎に慰霊碑が贈られたのは、黒澤監督の偉大な功績だろう。原作者は映画化に文句があったみたいだけど、黒澤監督が原作をいじるのは当たり前だから仕方がないね。全盛期の作風と全く違うけど、映像の美しさが印象に残る作品だった。 ・ 鉦おばあちゃんを演じた村瀬幸子の演技は素晴らしかった。戦争体験者の悲壮感が伝わる演技だった。ラストシーンは忘れられない。孫の縦男を演じた吉岡秀隆。この人ほど恵まれた俳優はいないんじゃないかな。子役時代から名監督との出会いに恵まれてきたから、実力のある俳優になれたんだろうな。 ・ リチャード・ギアがおばあちゃんの甥として出演している。「世界のクロサワ」の力もあって、破格のギャラで出演したらしい。邦画のリメイク映画に主演するなと、日本好きは有名だけど、この作品に登場する念仏堂をもらって、アメリカの別荘に移したっていうからすごい。 ・ 悲しみを引きずれとか、アメリカを憎めっていうわけじゃなくて、日本人として忘れてはいけないものを確認するための映画なんだと思う。アメリカ目線の戦争映画ばかり観ていると感覚がおかしくなっちゃうから、たまには日本人目線の反戦映画を観てもらいたい。