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エイズに対する政府や製薬会社の無策と徹底闘争を続けた「アクトアップ」を中心に描いたドラマ。同じ団体の中でも意見は対立を続け、マスコミや人々の関心を惹くためパフォーマンスに集中すべきか、交渉と対話の道を選ぶべきなのか、白熱した議論が展開されていく様子がドキュメンタリーさながらに映し出されるのが面白い。 とにかく本作は人の生きざまを克明に映し出していて、エイズの感染はショーンが語るように完全に自己責任の世界であり、陽性者とのセックスは極めてリスクが高い行為であるにも関わらず、彼はひたすらにナタンと愛し合うことを止めません。また、アクトアップでも先進派として常に批判や攻撃の手を緩めず、その姿には鬼気迫るものを感じます。 ショーンはまるで自分の生きた証を残そうとしているかのようです。彼の考え方や団体の方針を全面的に支持することはできないものの、映画全体から放たれる生と性に対する渇望には終始圧倒され、心奪われてしまいました。LGBTを扱った映画は今年本当に多いですけれど、その中でも格段にシリアスで生々しくて熱気ほとばしる一作でしょう。『BPM』文字通り、鼓動震わせる映画を見たい方には間違いなく今お勧めの作品です。
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