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ジュネ

ジュネ

7 years ago

4.5


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Capernaum

Movies ・ 2018

Avg 4.0

2019年165本目はレバノンのハードな実情を女性監督のナディーン・ラバキがえぐりとった『存在のない子供たち』。 もう何もかける言葉が見つからない、というのが正直な感想です。どんな映画にも「ここがよかった」「ここがダメだった」という身勝手な意見を含めた思いの丈1つは出てくるものですが、こんなに何を言うにも躊躇われる作品は久々です。 レバノンやシリアの窮状を描いたドキュメンタリーは何本も公開されてますし、私もそれなりにショックな映像に免疫はできてたと思うんですが、これだけ幼い子供たちが酷い目に遭い劣悪な環境で生きている姿を目にすると、自分が知っていたはずの世界が途端に狭く見えて、情けない気持ちに襲われます。 子供たちも100%演技していわけではなく苦しいのは本当でしょうし、カメラが捉えているとはいえ、作りは完全にドキュメンタリーのそれ。現実と非現実の境目をできるだけ近づけていった系統の映画としては、本作が一つの臨界点ではないかと思います。 主人公役のゼイン君は出演を機にノルウェーでの難民申請が認められ、レバノンを脱することができました。本作が救えたのはゼイン君1人だけでほんの些細なきっかけに過ぎないのかもしれませんが、ナディーン・ラバキ監督はスクリーンを通じて「存在のない子供たち」に存在を与えました。その存在を知ってしまった私たちの日々のちょっとした努力や関心が、「1人」を「10人」にする大きなきっかけになるのだと信じます。