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殺人ホラー版『君の名は』ともいえる女子高生と殺人鬼の入れ替わりをコメディタッチで描いたスラッシャーホラー。 《あらすじ》 地味な女子高生のミリー(キャスリン・ニュートン)は学校では意地悪な先生や生徒からいじめられ、家では夫を亡くしアルコールに溺れる母親と警察官の姉の間で板挟み。そんな家でも外でも鬱屈とした毎日を送っていたある13日の金曜日アメフトの応援後、母の迎えを学校で待っていると目の前に短剣を持った殺人鬼ブッチャー(ヴィンス・ボーン)が現れ、ミリーは肩を刺されてしまう。命に別状はなかったものの実はアステカの呪われた短剣だったため、翌朝目が覚めると呪いによって、ミリーとブッチャーは入れ替わっていたのだった。 《感想》 冒頭から殺人鬼ブッチャーによっていかにも遊んでそうな高校生4人組が口にワインボトルを突っ込まれたり、便座で頭部を破壊されたりとかなり痛々しい描写からの開幕。クリストファー・ランドン監督の前作『ハッピー・デス・デイ』では少なめだったグロ描写も今作はかなり強めに描かれていた。 冒頭以降はコメディ要素が徐々に増えていき、入れ替わった翌朝、中身は殺人鬼のミリーが『君の名は』の瀧くん同様に胸の感触を確かめるシーンがあり、とりあえず自分の胸を触るというのが万国共通の入れ替わりあるあるなんだなというところからまずひと笑いさせてもらった。 そして、この作品で改めてヴィンス・ボーンめっちゃデカってことを再認識。ヴィンス・ボーンのまわりが肩くらいまでしか身長がないので余計目立つ目立つ。これだけ大きな体をしていて、中身は女子高生になるっていうところがとてもコミカルで、思わず吹き出してしまうシーンがいくつもあった。 一方、中身は殺人鬼のミリーがこれまでの学園生活の鬱憤を代わりに晴らしてあげるかのように学校や街の至るところで追い回すホラー要素もあって、ホラーとコメディの応酬で全く飽きることはなかった。 監督曰く、追い回すシーンはターミネーター2をオマージュをしているそう。ターミネーター以外にも歴代のホラー作品を想起させるシーンがところどころあるので、そういう部分を見つけるのも楽しい。 ベタベタな入れ替わり劇でありながら、最後の最後まで気の抜けない展開が続くので、ハラハラドキドキの緊迫したシチュエーションを味わえて、安定のブラムハウス作品と感じさせる一作だった。
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