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河瀬直美が監督・脚本・編集を務めて製作された2017年の日本映画 ・ 第70回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門にノミネートされてエキュメニカル審査員賞を受賞した ・ 視力を失いつつある天才カメラマン雅哉と視覚障碍者向けの「映画の音声ガイド」の仕事をしている美佐子の物語 ・ 人は大切なものを失っても生きていけるのか。失うことの恐怖、葛藤。でも人は生きていく。その先にあるもの。そんな生きる姿勢を描いた作品だ ・ カメラ・ドールやグランプリなどの賞を受賞したこともあり、日本人で初めてカンヌ国際映画祭審査員まで務めたことがあるカンヌの申し子河瀬直美監督 どこかのお情けでカンヌに出品した作品と違って、最高賞パルム・ドールを選ぶコンペティション部門にノミネートされたんだから本当にすごい ・ 前作の「あん」でも感じたけど、河瀬監督は光の使い方が印象的で美しい。かつてレオス・カラックスの作品を観て、闇の使い方が上手い監督だなって思ったことがあるが、河瀬監督は光の芸術家だ。タイトルも「光」でまさに監督の集大成だ ・ 「あん」でも監督とコンビを組んだ永瀬正敏。永瀬自身がカメラマンとしても活動しているからリアリティのある演技だった。失っていく焦燥感が伝わる演技。水崎綾女も音声ガイドを作る上での葛藤や自分自身の過去と向き合う美佐子を好演。脇を固める藤竜也もかなりいい ・ 撮影期間は役になって生きてもらうという河瀬直美スタイル。役者同士もあまり会話させず、永瀬と水崎は2人の演じた役の住むアパートで実際に暮らさせていたっていうからすごい。 撮影も順撮りだから役者のボルテージが上がりやすいし、視力を失っていく雅哉がリアルだった。永瀬正敏も涙が止まらなかったとか ・ こういう海外で評価される作品を日本の女性監督が撮っているっていうのが誇らしい メディアはノミネートすらされてないがアイドル主演の殺戮映画ばかり宣伝してだけど、本物の映画をちゃんと紹介してもらいたいものだ
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