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「動く油絵の圧倒的なオリジナリティ」 なんと言っても、見たこともない“動く油絵”の世界に驚愕。ゴッホを描くこの映画でこそあるべき手法だし、圧倒的なオリジナリティが体感できる。 125名の画家たちがゴッホのタッチを再現しながら描いた“動く油絵”で構成。セットバックや、合成用のグリーンバックを背景に演技するなどまず実写映画として撮影、それを画家たちの筆で油絵にしたらしい。日本人画家、古賀陽子も参加。本編の1秒は、12枚の油絵で構成、62,450枚もの油絵が使われたらしい。 アカデミー賞短編アニメーション賞『ピーターと狼』(08)のヒュー・エルチマンとドロタ・コビエラが監督・脚本。出演は、『ノア 約束の舟』ダグラス・ブース、『つぐない』シアーシャ・ローナン、『ハリー・ポッターと死の秘宝』ヘレン・マックロリーなど。 油絵独特の、絵の具の質感まで分かるような一コマ一コマが続き、映像となるこの映画の圧倒的なオリジナリティ。実写でもない絵画でもない、他の映画にない不思議な存在感だと思う。 ストーリーも、あのゴッホの死の真相に迫る、独特の壮大なドキドキ感がある。作られたサスペンスものかと思いきや、エンドでしっかりドキュメントである事が記されていて、映画としての重みもある。もうこれは、アニメ映画史(アニメという括りなのかは置いといて)に残る一作ではないでしょうか。 ただし、まあ油絵の手法に目が行きすぎて、ストーリーが入ってこない笑。逆に美術館で絵画をゆっくり鑑賞するような、全く別次元で楽しむことが出来る映画という解釈でもいいのかもしれない。
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