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「AVを起点に繋がっていく3つの運命」 全く違う境遇ながら、それぞれAVに関わりがある女性たち、そして次第にそれが接点となり繋がって行くストーリー。 人気AV女優、紗倉まなの同名小説を『64―ロクヨン―』('16)の瀬々敬久監督が映画化。 AV出演を起点に、それぞれの家族が色んな形で苦悩を抱えていく様がとてもリアル。母との気持ちのぶつかり合いや、夫とのすれ違い、学校でのイジメ。原作者が現役のAV女優ならでは、実話なのではと思えるほど“ありそう”な描写がふんだん。 AV出演を是とも非ともせず、ただ淡々とその生き様を描く事で、この世界に生きる事の重みや困難を伝えていたと思う。 特に印象に残ったシーンが2つ。AV出演を知った母が田舎から駆けつけ、説得するシーンでは、目を覚ましてと顔を引っ叩く母親に「殴るのは構わないけど、これ商売道具だから」。母の強い思いに対しても、揺るがない意志の強さを爆発させたこの映画ならではの緊張感のあるシーンだったと思う。もう一つは、実家の鍵を、もう帰らないと返す娘に、無言で母が鍵を戻し、抱きしめ、娘が号泣するシーン。後ろめたい世界に娘が入っても、家族の絆は揺るがない、そんなあたたかいシーンだったと思う。 主演の森田彩乃と佐々木心音、どちらも体を張った演技はもちろん、無表情で涙を流したり、鬼気迫る表情の作りっぷりなど、とても実力派でした。
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