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製作・監督リチャード・アッテンボローによって製作された1982年のイギリス/インド合作映画 ・ 第55回アカデミー賞で作品賞、監督賞、主演男優賞、脚本賞など、8部門を受賞した ・ 「インド独立の父」として知られるマハトマ・ガンディーの青年時代から暗殺までを描いた歴史映画。製作・監督は、「大脱走」などで俳優としても有名なリチャード・アッテンボロー。反戦や平和をテーマにした作品が多い監督なので、ガンディーを題材にするのは自然の成り行きかもしれない。 ・ この映画が素晴らしいのは、人間の生涯を完璧に再現することは不可能だと認めた上で、ガンディーの思想を限りなく忠実にスクリーンで伝えようとしたことだ。同年に大ヒットした「E.T.」を抑えてアカデミー賞で主要部門を独占したことからも、この映画が伝えたことの重みを感じる。 ・ マハトマとは「偉大なる魂」という意味の尊称で、国民は親しみをこめて「父親」という意味のバープーと呼んでいる。日本でのガンジーという呼び方は、日本が得意とする間違った発音の結果。「非暴力、不服従」を提唱し、平和的にイギリスからの独立を訴えたガンディー。その思想はマーティン・ルーサー・キング・ジュニアやダライ・ラマ14世に引き継がれた。 ・ 日本では「無抵抗主義」という間違ったイメージがあるみたいだが、作品を観ても分かるように、思いっきり抵抗しまくっている。あくまで非暴力で抵抗するというのが大事なのだ。日本では偉大なる人物と教えるだけなので、この映画を見せるなりして、ガンディーの思想を伝えた方が、よっぽど勉強になると思う。 ・ ガンディーは神格化されているが、誰よりも普通の人間であろうとしたのがガンディーという人間だ。「インド独立の父」と言われるが、国内の宗教の対立を止めることができず、結局、インドとパキスタンに分裂したことは、ガンディーには無念だっただろう。その後のインドもガンディーの教えとは全く違う道を歩んだし、ガンディーが生きていたら何て言っただろうか? ・ そんな偉大なるガンディーを演じたのは名優ベン・キングズレー。ガンディーを限りなくリアルに再現したと評価され、映画デビュー作でいきなりオスカーを受賞した。ガンディーをイギリス人が演じることに批判もあったが、彼の父親がインド人だったので納得したみたい。あまりにも似ていたので、ベン・キングズレーの元に参拝する人が絶えなかったらしい。 ・ ヒトラーも同時代に生きていて、日本も帝国主義の時代だったので、ガンディーは剣にしか耳を傾けないと言われた日本人に苦言を呈していたのに、日本は全く聞く耳を持たなかった。なんだか映画のことよりガンディーについて語ってしまったが、30万人というギネスに記録された最多のエキストラを使ったスケールといい、歴史に残る作品なので、この映画を観て、ガンディーの思想について考えるといいと思う。
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