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2020年147本目は、いまだ31歳にして天才の名をほしいままにしたグザヴィエ・ドランの新作『マティアス&マキシム』。 ------------------------------------------------------------ エリート階級をひた走るマティアスと、恵まれない環境でもがき苦しみ続けるマキシムですが、二人とも美しい顔立ちでスクリーン映え抜群です。1度のキスをきっかけに関係性が歪に変化していく様子が描かれており、マティアスの落ち着きのなさには少々笑ってしまうほど。一方でマキシムは彼の揺らぎを確実に理解しつつも平然とした表情で、それがまたマティアスを苛つかせる理由となっていくわけです。 ------------------------------------------------------------ ドラン作品としては今までの中で最もストレートで何の変哲もないですし、昨今「男同士の恋愛」もありふれた題材ですので、巷にあふれる男女ラブストーリーと同じように楽しむことができると思います。マキシムの顔についた痣やバックを意味深に走り抜ける野良犬など、注目したくなるシーンは幾つかあるものの、描写としてはどんどん大げさで分かりやすくなってる印象ですね。 ------------------------------------------------------------ 個人的には昔のような繊細さや攻撃性がどんどん鳴りを潜めてるのが残念に感じますし、全く違うテーマの監督作を見てみたいという気持ちもあります。毎回「同性愛」と「母親」が話の中心になってるので食傷気味になってきた感は否めません。31で既に8作撮影してカンヌ・ヴェネチア・セザール三冠制覇ってのは十分すぎるくらいなんですけど…。
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