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cocoa

cocoa

3 years ago

3.5


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Heroic Losers

Movies ・ 2019

Avg 3.2

原題は「La odisea de los giles」。 「愚か者達の一連の長い冒険」と言う意味らしい。 2001年、政情不安のアルゼンチンの寂れた村アルシナが舞台。 主人公のフェルミン(リカルド・ダリン)は村の仲間達と廃サイロを買い取り農協を作ろうとする。 出資できる村人のお金をまとめて銀行に入金。 その翌日、金融危機に陥り預金凍結。 フェルミンは一夜にしてお金を失ってしまう。 しかしそれは支店長アルバラドと悪徳弁護士マンシーが騒動を利用してフェルミンを騙した結果だった。 そして一年後、フェルミン達はマンシーの隠し財産を狙って復讐計画を練る……そんなストーリー。 まだ遠い過去ではない2001年、アルゼンチンの社会情勢や金融危機のニュースは少しは知っていたけれど、突然の預金凍結や通貨ドル、ペソの不安定さは恐ろしい。 どんな時でも自分だけ儲けようとする人間がいて、騙される人間もいる。 貧困に陥っても何とか生きていたフェルミンや仲間達の様子は南米独特な緩さも感じた。 妻を自分の運転する車の事故で亡くしたフェルミンが「おしゃれ泥棒」にヒントを得て計画を練る辺りからは面白い。 タイヤ修理のアントニオ、電車の停まらない駅の駅長ロロ、ゴメス兄弟など魅力的な仲間が良い。 大学を休学して仕事を手伝うフェルミンの息子ロドリゴ…演じるのはリカルド・ダリンの実の息子だった。 悪徳弁護士マンシーの隠し金庫を狙うやり方も緩い。 セキュリティの抜け道を狙い…と言っても誤作動を繰り返す事からマンシーに切らせるとかあり得ないけど。 送電を切って無事にやりきった彼らは自分達のお金を取り返すのです。 劇中の「悪いヤツは自分が悪いなんて思っていない」という言葉が印象的。 妻は亡くなったので9人の仲間がやりきったちょっと緩い復讐劇。 「勇敢な愚か者には人生を切り開く力がある。」とはまさにその通り。 最後にアントニオがマンシーにやったマテ茶の復讐にも笑えた。