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原題は「My Octopus Teacher」。 アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞でオスカーを獲得。 心身ともに疲れはて眠れなくなった映像作家のクレイグ・フォスター。 南アフリカ、カラハリの荒海に潜って出会った野生の雌のマダコとの出会いで人生を取り戻していく…そんなストーリー。 ドキュメンタリーの定義は詳しくわからないけど、海に潜るクレイグ、そして彼に懐いていく一匹のタコ、両者を撮影していく別のカメラマンによって作られています。 水温がかなり低い海にウェットスーツなしで潜るクレイグがあまりにも冷たい海水で頭も身体も覚醒していく、そんな語りは良くわかりました。 海の中の三次元の森と言うように「ケルプ」(海草や藻)の森の中を素潜りで進むクレイグ。 森と言っても海底まで光が届き、その中の生物の美しいこと! 種類の多いクラゲの光り輝く美しい揺らめき、魚たちの優雅な動きも引き込まれました。 そんな中で一匹のマダコに出会ったクレイグ。 ある時は貝殻をまとったり、海草を巻き付けて擬態し、天敵のサメから身を守るタコ。 タコを「彼女」と呼び、クレイグは300日以上潜って会いに行く。 タコが警戒心をなくしてクレイグに手を…(足?)伸ばしてくる頃からタコの意思が伝わってくるようでした。 2000個にも及ぶ吸盤を使い、エサを捕ったり水中を自由に素早く泳ぐタコ。 何度かサメに襲われ、地上の岩に逃げる様子や貝で擬態してサメの背中に張り付きながら攻撃を交わす様子は見応えがありました。 約一年と言う寿命の中、雄のタコと交尾をして産卵し巣の中で世話をするタコ。 クレイグはタコとの濃密な関わりによって自分を取り戻していったとのこと。 「男性とタコの恋愛」とまでは思わないけれど、厳しい自然界でのタコの賢さは充分伝わりました。 まさに「タコ先生」から学んだ感じです。
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