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面白かった。 人間が出てこないのかと思いきや出てくるし、想像していたよりもずっとちゃんとしたSFだった。 ウォーリーは見た目こそポンコツロボットだが、実はかなりのハイスペック。イヴの方が未来的な形をしているけど、ウォーリーも未来のロボットだし、ハイスペックなのも当然といえば、当然か。 ウォーリーの声はR2-D2の声を担当しているベン・バートが作成している。この人が作った声はロボットだろうと個性と感情が宿る。セリフなんてほぼないのに、とても感情豊かで、非常に分かりやすかった。ウォーリーが可愛いこと可愛いこと。 ウォーリーの一生懸命な姿が可愛いらしいってのが伝われば、この作品はほぼほぼ勝ったようなもんだが、ディズニーはそれだけでは終わらない。きちんと、人間の行く末まで描く。 人間は汚染されて住めなくなった地球を捨てて、宇宙船の中で生きることを余儀なくされていた。全て管理された社会の中で、自動介護ベッドの上から動くこともなく、彼らは立つこともままならないくらいブクブク太っていた。当然、仕事もすることなく、もはや、宇宙船の中は牧場と化してる。しかし、地球に戻ることで、草を植えて農業をすることで人間らしい生活を取り戻す。 全てがシステム化した社会であれば、仕事はないし、ましてや立つことも運動することもない。未来の人間をコメディカルにかつ鋭く風刺していると思う。実際にそうなっても不思議ではないなと思う。 しかし、それだとやはり人間の尊厳が失われていく。人間は体を動かし、生活を営んでこそ人間だと思う。障害者の人を敵に回すような発言だが、誤解しないでほしい。動けるのに、何も考えず、何もせず、システムにただ生かされるだけなのは、家畜と同じだ。考えて、動いて、機械に生かされるのではなく、人間が機械や道具を使って生きなければならない。人間たちもウォーリーの一生懸命な姿に触発されたのだろう。生きることに一生懸命になるというのはなんとも人間的だ。 ともかく、この話はロボットとロボットのボーイミーツガールだけではなく、人類の存亡を賭けた闘いにまで発展し(そこまで大袈裟ではないけど)、ディズニーの底力に驚いた作品でした。
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