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2020年120本目は、囲碁×格闘という奇抜な発想で裏社会に復讐する男を描く『鬼手』。 ------------------------------------------------------------ 昔同じ設定の『神の一手』という映画があったんですけど、その作中で主人公は刑務所に入れられてしまいます。すると隣の独房にとんでもなく強い囲碁の指し手がいまして、そいつが師匠的な存在になっていくわけです。本作はなんとその師匠であるグィスの過去を描いたスピンオフで、誰がこんな切り取り方の続編を熱望したのか、とんと想像もつきません。『神の一手』がそこまでヒットした映画にも思えないんですが。 ------------------------------------------------------------ 中身は前回とまるで変わっておらず、正直「囲碁」の意味が全くないです。色のついてない透明なコマで戦ったり、線路の上で迫り来る電車を感じながら囲碁指したり、戦局のバリエーションは多彩でそこそこ楽しめます。ところが肝心の戦術は一切描かれず、気づけば主人公が「王手!」で勝っている始末。頭脳戦の面白さを描けないのであれば、別に囲碁でもチェスでも水球でも何でも良いわけで、本末転倒だと思います。 ------------------------------------------------------------ おまけに主人公は肉体を極限まで鍛え上げているため、囲碁で話が片付かなかったら結局相手をボコボコにしちゃうので、囲碁好きの人を「囲碁とは?」という本源的な問いに立ち返らせる素晴らしい野心作になっています。テーマに反して白黒の付け方を完全に間違ってる、韓国映画にしては結構珍しいトンチンカンな1本でしたね。
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