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三味線の音色で息づく折り紙。日本文化が、アメリカ映画で見劣る事なく映像・音共に美しく表現される心地よさ。さらにそれをストップモーションアニメの独特なタッチで作り上げる、全く別次元の映像美が楽しめる映画。 アカデミー賞で『ズートピア』と共にノミネートされ脚光を浴びたストップモーション・アニメ。監督には、黒澤明や宮崎駿を敬愛する大の日本マニア、トラヴィス・ナイト。声優にはシャーリーズ・セロンやマシュー・マコノヒーなどアカデミー賞俳優陣。 総制作期間94週、総作業時間1,149,015時間、総コマ数133,096、クボの人形の数30体、一つのカットで使われた顔の最大個数408個らしい。 この映画にしか出来ない映像美を見せてくれる。三味線や折り紙など、日本独特の文化が映像・音共に美しく表現される冒頭のシーンは鳥肌モノ。実写でもCGアニメでもない、ストップモーションアニメのどこか懐かしい、柔らかいタッチがさらにオリジナリティを高めていると思う。時代劇に出てきそうな村人達が、ディズニーピクサー映画のようにアメリカ風な顔や口の動きで話す様子も、違和感はありつつも、この映画ならでは感がある。 至る所に日本文化へのリスペクト感もあり、誇らしい気持ちにもなる。灯籠流しも、故人を尊ぶ文化をうまく映画の重要なポイントに落とし込んでいると思う。折り紙も、ここまで美しいファンタジーに作り込んでいるのも心地いい。かわいい折り侍も、ふと立ち戻ればCGではなく実際の造形物なのだから(だと思うんだけど)、甲冑の細かい作り込みの部分含め、作り手の労力に感服してしまう。 ただストーリーとしては、特にひねりのないアメリカンコミック的なものだったし、理由の分かりづらい描写も多々あり、なんだか“日本文化の不思議さというオブラートで、なんでもアリ”な事にされてる気もしたのが残念。
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