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リーマン・ショックの裏側を描いた、実話ベースの社会派ドラマ。スタッフの皆さんの拘りと俳優陣の熱演、そしてアダム・マッケイ監督の手腕が光る面白い映画でした。 本来コメディが得意な監督さんらしく、所々コミカルに描かれており、内容の割にお固くなりすぎておらず、とても見易かったです。劇中では「MBSをCDSで、CDOだ」という様な聞き慣れない金融用語が飛び交っており、私には意味がわかりません(笑)。 ただ、それをコメディ調にわかりやすく解説してくれるシーンがあるので、知らない言葉でもなんとなくイメージできるのです。少なくとも、映画を楽しむ為には十分でした。本作の様な内容をエンタメとして成立させていることは見事であると思います。 また、出演されてる俳優陣も監督に負けてません。皆さんの役作りが素晴らしいです。クリスチャン・ベイルさんの役作りの徹底ぶりは有名ですし、スティーブ・カレルさんなんか、実際のマークと瓜二つで見分けがつかない程です。演技も素晴らしく、個人的には今回最も印象に残った俳優さんです。 ただ、実際の登場人物達については、どうでしょうか。ウォール街の欠陥を見抜き、多くの人が信じなかった事を主張し続けたことは見事だと思います。先見の明と確かな信念があったのでしょう。しかし、劇中で語られている様に、彼らが経済が破綻する方に全賭けして、大金を儲けた人達であることに違いはありません。それは、今回敵役として描かれている銀行や他の証券マンたちと本質的に違うと言えるのでしょうか?そこは、気になる方もいるかと思います。 さて、そんな感じで賛否がある映画だとは思いますが、映画自体の完成度は高いと思います。私の様な金融関係に疎い人間でも楽しめる一方で、社会へのメッセージもしっかりとしていて良いバランスです。秀作と言えるでしょう。
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