Comment
第79回アカデミー賞で撮影賞、美術賞、メイクアップ賞を受賞したファンタジー映画。 1944年のスペイン。父を亡くし、独裁主義の大尉と再婚してしまった母と暮らす主人公オフィリアは、ある日、妖精に導かれて迷宮に行く。そこに現れた守護神パンはオフィリアが地底の王国の姫君だと告げ、王国に戻るための3つの試練を与えるのだが…。 一応PG12指定だが、R15指定でも差し支えないほどグロテスクで痛々しいシーンが多く、ジャケットのような明るいファンタジーを期待すると痛い目に遭う。ギレルモ・デル・トロお得意のクリーチャー造形も恐ろしく、中でも目玉を手につけるアイツはトラウマ級。 もちろんファンタジーの部分は極めて【非現実的】な描写であり、反対に戦争の部分は極めて【現実的】な描写である。しかし、その境界が曖昧なまま物語が進められるため、果たしてこれは幻想なのか、それとも現実なのかがはっきりしない。ただその曖昧さが映画に絶妙な余白を残しており、我々に考察の余地を与えてくれる。ラストもハッピーエンドなのか、バッドエンドなのか、観る人によって解釈は変わってくるだろう。 戦争の【残酷さ】や【理不尽さ】を訴える映画はたくさんあるが、ここまで芸術的に、独創的に表現した作品は他にないと思う。アカデミー賞3部門受賞に相応しい傑作です。
16 likes0 replies