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2019年134本目はダスティン・ホフマンとスティーブ・マックイーン主演の名作を45年の時を経てリメイクした、『パピヨン』。 とにかくパピヨンを演じたチャーリー・ハナムの徹底した役作りが素晴らしく、筋肉質のガッチリした体つきが過酷な刑務所生活によって次第に痩せ細り、独房での死に面するような体験を通じてついにはガリガリにこけていく過程をその身一つで演じきっています。 こうした脱獄ものでは如何なる計画を練るのかに注目が行きがちですが、本作の場合はひたすら金とコネによって全てが解決する単純さで、ケイパー的醍醐味は味わえません。どちらかというよりもパピヨンやドガの自由に対する飽くなき執着心や渇望といった、感情の高まりに心打たれる密度の濃いドラマに仕上がっています。 なかでも主役二人の間にいつのまにか芽生える信頼と友情、そしてそれが極致に達するラストには不覚にも落涙してしまったほどで、この手合いの男臭い映画が大好きな方には是非ご覧になって頂きたいです。それにしても実際の囚人アンリ・シャリエール氏はなんと9回もの脱走を企てたそうで、とんでもない不屈の精神の持ち主だと驚嘆するばかりです。
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