
星ゆたか

After Yang
Avg 3.5
2024.3.7 コゴナダ監督作品は初めて。 韓国出身で米国監督のこの人の名前は。 日本の小津安二郎監督作品の共同脚本家の野田高梧さんの。 「KOGO NODA」からの借用とか。 また氏の日本映画の憧憬は、作品の中のAIロボットの青年ヤンの着ているTシャツに描かれた。 〔Lill chou chou〕つまり岩井俊二監督の「リリイ・シュシュのすべて」(2001)のリスペクトにも見られるとの事。 摩訶不思議な近未来SFだ。 舞台背景は普通の家の内庭であったり、森の木々、林、草原。 商店街も今日なみ。 主人公コリン・ファレル(45才)演じ経営する茶葉店も。 むしろ懐かしさを感じさせる時代性で。 ただ強いて言えば、移動の自動運転の車内の様子が近未来SF的。 そして全体的に画面光明度が低く、暗いのは少し不満材料かな。 ただユニークなのは、彼らの家庭の構成員の一人に。 見た目は人間そのもののAIロボットの青年ヤンが加わっている所だ。 彼らは黒人の妻と中国系の幼い養女ミカとの“4人家族”。 家事の手伝いと何より、ミカの中国との伝統思想繋がりを情報として。 組み込まれたAIロボットがヤンへの期待であり。 その為にミカが赤ん坊の時に。 中古販売店で買い求めたらしい。 映画の初めの方で、家族四人で挑む。 インターネットのダンスコペティション(踊りの評価が下される)でハリキリ過ぎたのか。 ヤンが動かなくなってしまう。 まだ保証期間中なので修理が可能なはずだが。 製造元に出すと下取り値引きで、新製品を勧められるのは目に見えているので。 父親ジェイクは修理🔧依頼の店をハシゴする。 一軒目など見積りだけで250ドルも請求され。 『1000ドル値引きで新品を!』などと言われ唖然⁉️。 三軒目の何やら古めいた部品が山積みになっている。 また店主がやや胡散臭いオヤジの店で、修理が出来そうだが。 何やらこのヤンというAIロボットには。 《毎日数秒間だけ動画を撮影できる装置》が組み込まれている“特別製”らしく。 それにはAI博物館の技能士の技術が必要との事で。 その女性博士を紹介される。 そしてここで、この記録のチップだけ外してもらい。 ジエイクが家で再生鑑賞する展開が実に独自の映像美表現で見所の1つ。 またこの〔再生、一時停止、再生〕の行為は。 どこか人間の人生の歩みそのものの感じだ。 またその他〈宇宙の星の1つ1つ〉にその記録が反映されたり。 またAIロボットがクローンの美少女(実は事故死しているらしい)と“恋愛感情”を抱いてたり。 そしてもちろん“妹ミカ”への限りない“慈愛感情”も綺麗に記録されていた。 そしてこの映画の中で特筆すべきは。 ヤンのミカへの中国伝統思想の伝達の使命をインプットされていた事。 残念ながら、それはミカの成長に合わせての事で。 『使命途中で果たせず』の結果であったが。 蝶の採集が趣味のヤン。 老・荘思想『毛虫が終わりと呼ぶのを残りの世界は蝶と呼ぶ』 『無がなければ有も存在しない』 消費の循環で幸福を目指す西洋思想の行き詰まりを。 東洋思想の自然回帰に託すかのように。 ジエイクはお茶の風味だけでなく。 お茶を入れる作法や過程が好きだと言う。 これなどは近来外国人観光客が体験型の旅行を希望し。 茶道体験などもその1つに組み込まれている例に通じる。 この映画は日々進化するテクノサピエンス(アンドロイド)に感情を導入する人間の喪失感を描いたもので。 動物ペットロスなどと同感覚だろう。 物語も何とか修理して“家族の個の幸せ”に戻って欲しい気持ちと。 博物館に展示、その技術を未来の《公の大衆の幸福》に準じるかの判断をこの家族は託されるのだ。 音楽スタッフの名前に。 坂本龍一さんや小林武史さんがあるのも誇らしい‼️。