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2010年アカデミー賞外国語映画賞作品。 原題は"Hævnen"(復讐)。 アフリカ難民キャンプの医師アントンと、その家族が住むデンマークを舞台に、理不尽な暴力にどう対峙するかというテーマを描いた作品。 子ども社会のいじめに対して、当人はどう向き合えばいいのか。 暴力に屈するのか、一矢報いて一目置かせるのか。 それを大人はどう教えればいいのか。 そしていざ大人がその場面に直面した時、子どもたちに教えたとおりにできるのか。 非常に繊細な問題を2カ所の舞台を活かして上手く描いており、自分ならどうするのか終始考えさせられる。 暴力をふるう側は先進国デンマークでは実は弱者であるが、その図式がわからない子どもたちに、なぜ復讐しないのかを説くのは非常に難しい。 そして当の大人が難民キャンプという環境で、理不尽な暴力に容易に復讐できる機会が訪れたときにどうするのか。 弱者側の視点や安易な結末をあえて描かず、 本作が社会に提起しようとしているのは、答えではなく思考すること。 デンマーク/スウェーデン作品らしい作品でした。
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