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 この映画のポイントは「俳優の半生を投影した絶妙なキャスティング」にあります。 実はケイシーはここ5年ほどホアキン・フェニックスを題材にした不謹慎なドキュメンタリーを製作したことで、ハリウッド中から干されてしまっていました。 でもこのままでは可哀想と立ち上がったのが、兄ベンの親友でもあるマット・デイモン。 彼が演じる予定だった本主役の座をケイシーに譲り、自分がプロデューサーに回り、失敗したどん底の男がどのようにして立ち上がっていくのかを演じさせました。 「ブラックスワン」のナタリー・ポートマンや、「レスラー」のミッキー・ロークのように、観客は俳優自身の半生と被り感情移入した結果、見事アカデミー獲得と返り咲いたのです。また元妻役のミッシェル・ウイリアムズも、自殺してしまったヒース・レジャーの奥さんということですから、こちらも感情移入してしまいした。 昨年ディカプリオが、あれだけ壮絶な極寒の地で死ぬ思いで体当たりの動の演技をしたのに対し、今回は一転、静の心理的描写が有力視されるはず。内情的な役作り。 配役が実にうまい。 彼のために作られた役と言ってもいい。
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