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累計310万部突破の東野圭吾「マスカレード」シリーズ第1作「マスカレード・ホテル」映画化作品。木村拓哉が初の刑事役、他出演に長澤まさみら。監督は「HERO」シリーズの鈴木雅之。脚本は「ライアーゲーム」シリーズの岡田道尚。 ◆ 都内で3件の殺人事件が発生。警視庁捜査一課の刑事・新田浩介は、現場に残された数字からあるホテルが4件目の犯行場所になることを突き止める。ホテルへ潜入捜査に乗り出した新田は、フロントクラーク・山岸尚美と衝突を繰り返しながら、事件の真相に近づいていく。 ◆ サスペンス映画として楽しむというより、印象としては「こんなホテルに泊まりたい」と思える映画。“お客様のわがままにも全力でお応えする”“お気をつけて行ってらっしゃいませと見送るのは、ホテルの外ではそのお客様の幸運を祈るしかできないから”。サービスに徹するその精神が何度も吐露され、伝わってきて、ただこのコルテシア東京にいつか泊まりたいと思ってしまう、まあある意味ホテルプロモーション映画だった笑。 映画の大半はそんなホテルのサービス精神と刑事の相反する理念のぶつかり合い、そしてその融合。無骨な刑事が潜入捜査を通じてホテルマンのサービス精神を学んでいき成長していく人間ドラマが本作での東野圭吾らしさのように感じた。同時に刑事の専門能力の高さや罪を許さないまっすぐさ、それを次第に理解しながらホテルマンとしての理念が揺らぐ山岸。“お客様を守る事が使命”と話すホテルマンと、“市民を守る事が使命”という刑事。近いようで本作では相反するその理念がぶつかりながら、そして新田と山岸の相反する性格もぶつかり合いながら、互いに理解しあい認め合っていく、離れていた円がゆっくり重なり合っていくようなそんな図式の人間ドラマだったと感じた。 ただ反面、もっとサスペンス性を期待していたので肘を外された感があるし、東野圭吾ならではの超重厚な人間ドラマというわけでもなかったし、犯人の犯行理由も少し弱い。正直消化不良。
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