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Till

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5 years ago

4.5


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Hereditary

Movies ・ 2018

Avg 3.4

アリ・アスター監督の長編デビュー作。 「ホラーの常識を覆した最高傑作」「現代ホラーの頂点」と評され、サンダンス映画祭で大絶賛されているが、その評価に相応しい傑作だった。斬新なカメラワーク、巧妙に張られた伏線、恐怖を煽る演出など、徹底的に細部にこだわっており、一作目にしてアリ・アスター監督の尖りまくったセンスが全開。 デカイ音を出して急に驚かせるザ・アメリカンホラーではなく、終始じめじめとした雰囲気で、じわーっと精神的に追い詰められるような、どちらかと言えばJホラーに近い印象。それから本作はホラー要素だけでなく、サスペンスとしても見応えがある。壁に書かれた文字、登場人物のセリフ、謎の光、その一つ一つが【何か】を暗示する伏線となっている。この細かい仕掛けを確認しながら観るのも面白い。 そして、主役を務めたトニ・コレットの怪演も凄まじい。『サイコ』のジャネット・リー、『シャイニング』のシェリー・デュヴァルなど、“絶叫クイーン”と呼ばれ映画史に名を刻んだ女優はこれまでに何人かいるが、彼女も間違いなくそのうちの一人に数えられるだろう。彼女の場合は【絶叫】を通り越してもう【変顔】の域に達している気もするが…。 決して一般受けする映画ではないが、一定層には確実に受ける作品。デビュー作でこれだけ完成度の高い作品を生み出すとは、ホントにとんでもない監督が現れたなぁとただただ感心するばかりだった。