Comment
「あたしね。コンビニとかスーパーで買い物してる時にね。お店の人がさ、あたしの買ったものを、せっせとさ、袋に入れてくれてる時にさ。あたしなんかのためにさ。その手はせっせと動いてくれてるんだよ。あたしなんかのためにさ、せっせとお菓子やお総菜なんかをさ、袋につめてくれてるわけその手が。 それ見てるとさあ、なんか胸がぎゅうってしてね。なんかもう泣きたくなる。 あたしにはね、幸せの限界があるの。もうこれ以上無理、って言う限界。たぶんそこらの誰よりもその限界が来るのが早いの。ありんこより早いんだあそれ。その限界がね。 だってさ。この世界はさ、ほんとは幸せだらけなんだよ。みんながよくしてくれるんだ。 宅配便のオヤジはさ、あたしがここ、って言ったところまで重たい荷物運んでくれるしさ。雨の日に、知らない人が傘くれたこともあったよ。 でもさ、そんなに簡単に幸せが手に入ったら、あたし壊れるからね。だから、せめてお金払って、買うのが楽。お金ってさ、多分そのためにあるんだよきっと。 人のまごころとかさ、やさしさとかがさ、あんまりそんな、はっきりくっきり見えちゃったらさ、人は、だってもうありがたくってありがたくってさ、みんな壊れちゃうよ。 だからさ、それみんなお金に置き換えてさ、そんなの見なかったことにするんだよ。」
53 likes0 replies