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スマトラ島沖地震に巻き込まれた家族の実話を基に描くドラマ映画。 阪神淡路大震災や東日本大震災など今まで幾度と地震の脅威にさらされてきた日本人にとっては一見の価値がある作品。とは言っても、実際に直接的な被害を受けた方、PTSDを患らっている方にはあまりお勧めできない。そのくらい描写がリアル(津波のシーンもあります)。自分はそこまで地震の影響は受けていないのだが、それでもかなり心苦しくなった。 監督のJ・A・バヨナと脚本のセルヒオ・G・サンチェスのコンビは本作だけでなく『永遠のこどもたち』や『マローボーン家の掟』の製作にも携わっているが、どの作品も「絶望的な状況の中に差しこむ一筋の光」みたいなものを描いているように思う。『永遠のこどもたち』では息子が行方不明になり、『マローボーン家の掟』では殺人鬼の父親に追い詰められるといった悲惨で残酷な状況を描きつつも、【家族愛】という一貫したテーマがあり、どこか「希望」を持たせるようなエンディングだった。本作も地震によって絶望的な状況に追いやられた家族が様々な出会いを通して再生する物語。まさに彼らが描きたかったものだと思う。 脚色の度合いは分からないが、本作で描かれる家族は少し幸運すぎる気もする。ただ、ひたすら残酷な描写をし続けて「地震は怖い」と訴えるよりかは、その極限の状況下にもまだ希望はあるのだと言ってくれた方が響いたかもしれない。そしてそれがこの監督の良さだとも思う。
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