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アメリカでは全くの無名だが南アフリカでは伝説的な存在であるミュージシャン、ロドリゲスのその後を追うドキュメンタリーフィルム。私には音楽的な才能は皆無ですし何の教養もないのですが、劇中幾度も流れる彼の曲には何とも言えない心地よさを感じました。証言する人々がこぞって彼の才能を誉めちぎるものの、ヒットチャートにかすりもしなかったという現実は、成功の二文字が商業主義と全くの無縁でないことを教えてくれます。 日本も決してその例外ではありませんし、特典商法ばかりで中身のない軽薄な音楽にうんざりさせられることも多々あります。しかし映画の後半、ロドリゲスを取り巻く状況が一変し、現実の彼の人柄を知るにつれて、改めて音楽というジャンルの圧倒的で感動的な力を思い知らされました。 確かに長い年月を経て再び注目を浴びた事実は奇跡かもしれませんが、ロドリゲスの音楽が南アフリカの人々の心を掴んだのは当時の時代背景だけが理由ではないでしょう。最後のライブシーンはその象徴であり、人と人の心を結び笑顔にする、音楽の根本的な尊さや素晴らしさを教えてくれます。 音楽に興味のない人、幻滅している人にこそ是非見てほしい1本です。
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