
てる

Chainsaw Man - The Movie: Reze Arc
Avg 4.1
チェンソーマンのマンガを読んでいた。面白いんだけど、ぶっ飛びすぎてる。あまりにも簡単に登場人物が死んでしまうことに、毎回、衝撃を受けていた。しかも、かなりグロい。 アニメが放送されるという広告を目にしたときはあまりのことに二度見してしまった。こんな作品をテレビで放送できるはずがない。いや無理でしょ。深夜枠でも無理でしょ。 しかし、出来上がった作品はグロテスクではあるものの面白かった。映像のクオリティが非常に高いし、米津玄師のオープニングも流行ったし、エンディングは毎話違う曲を流すというこだわりっぷりだ。制作陣の本気が覗える出来であった。 この作品も大変好評で、あまり観る気はなかったのに、突発的に観に行ってしまった。 TV放送のもマンガも内容はほぼほぼ忘れていたので、不安だったが、杞憂だった。本当にこの作品はレゼ篇で、レゼをヒロインにして、レゼだけで話が完結する内容だった。 短い話だし、まとまっているので、この章だけ映画でやりたいというのはよくわかる。 謎の少女レゼ。魅惑の女の子すぎる。可愛くて、ミステリアスで、積極的。2次元でしか登場しえない存在だ。 そんな女の子はやっぱり存在しなくて、ハニートラップの刺客だった。 デンジくん。訳ありすぎる出生で、義務教育も受けずに仕事をしている。 デンジくんはかなりぶっ飛んでるけど、少年らしい純粋さがあって、そこが可愛い。チェンソーマンって作品は異常性があまりにも高すぎて、見逃しがちなんだけど、デンジくんの成長ストーリーなのだ。 レゼ篇はデンジくんの恋が物語の肝なのだ。 デンジくんはマキマさんが好き。だけど、レゼも好きになってしまった。 マキマさんに対する好きって気持ちは後半にネタばらしがあるのだけど、それは置いておいて、憧れに近い。美人で優しくて、強くてカッコイイ大人の女性。 一方、レゼは同い年くらいだからこそ、自分と共感できるところが多い。 例えば学校だ。本来であれば、学校に通い、勉強して、部活をして、友達がいて、好きな人がいる。誰もが当然に青春を謳歌している年頃なのだ。それなのに、いつ死んでもおかしくない仕事をしている。 そこでデンジくんは揺らぐ。自分の境遇に疑問を持ってしまう。それで付け入る隙を作ってしまい、襲撃される。 この作品がにくいのは、レゼがただの化け物じゃないってとこだ。夜の学校に忍び込んで、授業ごっこをして、2人でプールに入る。それが全てハニートラップだったというわけではなかったのだ。レゼも学校に通ってみたいと思っていただろうし、普通の生活に憧れていたのだろう。デンジくんとならもしかしたら、その生活を送れるのではないかという淡い期待を持ってしまった。そんなものはないことはわかっていたのに。約束の喫茶店に向かったのは、とどめを刺しにいったわけではないだろう。 その演出がにくい。叶うことのない願い、恋、切ない気持ちにさせられます。 藤本タツキって人間の感情を表すのが上手い。 普段なら取り繕ってしまうようなことを飾らずに開けっぴろげに明かしてしまう。 ぶっ飛んだ発想力とぶっ飛んだ倫理観を持つ一方で、繊細という面を持っている。しっかりと人間を描ける作家なのだ。不思議な人だ。 藤本タツキって勝手に女性だと思っていた。男の心理描写がやや不慣れな感じがするのだ。デンジくんなんてまさにそうだ。こういうキャラクターを作ろうとして、その型に嵌め込んだような違和感を少し感じる。だけど、女性に関してはあまりその違和感を感じない。女性が憧れそうな女性、女性が好きそうな女性は描くのが得意なように見える。 もしかしたら、それは私が男性だからこそそう感じるのだろうか。 いずれにしろ、不思議な人だ。異常なんだけど、人間的で、魅力のある人なのだ。