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研ぎ澄まされた斬新な映像と先の読めないサスペンス。極限状態に追い込まれた人間達が浮かび上がらせる邪悪な本質とそれを剥き出しにした行き詰まる心理戦。前作、監督デビュー作にして頂点を思わせる完成度を備えた『CUBE』に続く第二弾がこの『カンパニーマン』である。そんな彼が選んだ奇妙なストーリーは以下の通り。 退屈な毎日を送る会社員モーガン・サリバン(ジェレミー・ノーザム)は、人生に刺激を求めハイテク企業デジコープ社の産業スパイとなった。初任務は、他企業のコンベンションでの情報収集。さらに任務を重ねるたびに新たな自我に目覚め、今までにない自信さえ感じ始める…。 「なるほど」見終わった後にあなたはこう呟くだろう。ただ、その怒涛のラストにたどり着く間、一体誰が味方で誰が敵なのか、誰が騙して誰が騙されているのか、何が真実で何が偽りなのか、そんな様々な謎の状況整理ができないまま、あっというまに事が過ぎる。その時間を満足できるかどうかにあると思う。謎さえ解ければそれでいいのか。何だか結末ありきのストーリーな気がして、私はどうも納得いかなかった。きっと一度見て全てが理解できる人には、こんな不満は起こりえないのだろうが、果たして何人いるものなのか。(03/06/22)
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