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生々しくて哀しくて力強く美しい、ドキュメンタリーを観ていると錯覚させる映画だった。 ビビッドカラーのパレードシーンと色味を抑えた日常シーン、デモシーンの喧騒とセックスの息遣いや痛みに耐える吐息のみのシーンなど、ギャップを巧みに使っていたところが引き込まれた。 主人公のショーンが序盤の活力に満ちた姿から終盤へと進むにつれ痩せ細り土気色に変わっていく姿が痛々しかった。観てるこちらに突き刺さるような衝撃を与えてくれたナウエル・ペル・ビスカヤーをはじめ出演人の役づくりと演技力は本当に素晴らしかった。 試写会にて作家・北村雄二さんのお話を聴いて、当時のHIV/AIDS患者やLGBTQを取り巻く社会や政府の対応とそれらに抗議する団体など、映画の背景を知ることで理解が出来なかった点を一本の線にすることができた。ただ初見または1990年代初頭を知らない世代には消化不良な作品になってしまう可能性もある。 ぜひホームページを一読してからの視聴をオススメしたい。
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