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監督・小津安二郎、脚本は監督と野田高悟の共同執筆で製作された1959年の日本映画 ・ 東京の郊外-小住宅の並んでいる一角。このごろ、ここの子供たちの間では、オデコを指で押すとオナラをするという妙な遊びが流行っているが、大人たちの間にも、向う三軒両隣、ざっとこんな調子で、日頃小さな紛争はあるが和やかにやっている。ところで、ここ奥さん連中が頭を痛める問題が起こった…。 ・ 家族を描くホームドラマの巨匠小津安二郎監督ここにありといった作品だね。大人と子供の世界を描くことで、無駄だと思うことの大切さを説いている。それにしても、芸術と言ってもいいまとめ方だ。駄々をこねる子供、怒る親、口をきかなくなるという黄金パターンから、コメディタッチに描きつつも、大切なことを伝えている。 ・ 小津作品もカラーに変わったばかりで、時代的にも洗濯機やテレビなどが一部の家には置かれ始めた時代。「ALWAYS 三丁目の夕日」でも描かれた時代だが、あれはあくまで再現したもの。この映画は、その時代そのものだから、リアリティとかいう以前にリアルだから面白い。 ・ テレビが普及すると国民がみんな馬鹿になると心配されていたようだが、まさに国民がみんな馬鹿になっているので、その心配はあながち間違っていなかったと思う(笑)小津監督には未来が見えていたんだろうな。 ・ 小津監督の大好きな原節子は出演してないけど、お父さん役はこの人しかいない笠智衆や三宅邦子など小津作品常連俳優ばかり。杉村春子は相変わらずちょっと感じの悪い役。この人は本当に役者の鏡みたいな人だね。中井貴一の父親である佐田啓二も出演している。いい役者なのに37歳で事故死したのは惜しまれる。 ・ 50年も昔の作品なのに、小津作品はいつも大切なことを教えてくれる。先見性のある監督だったからこそ、いまだに世界中で愛されているんだろうね。学校の教材にでもして、旅行先でDSをやっているような子供たちに見せるべきだと思う。
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