Comment
2019年239本目は極寒の地アイスランドで撮影が行われたサバイバルドラマ、『残された者』。 ------------------------------------------------------------ マッツ・ミケルセンがほとんどセリフもなく、ひたすら極北の地を歩き続ける1作で、彼自身も「キャリアの中で最も過酷な撮影だった」と表したほど。序盤のキャンプ地周辺ではまだ人間らしい生活が送れていて、ニジマスを釣り上げて喜んだり、救助信号を発信し続けて結果にガックリしたりと、「ほんわかサバイバル」なマッツ・ミケルセンを楽しむことができます。 ------------------------------------------------------------ ところがトラブル発生以降、キャンプ地を離れることを決断してからは絶望の連続。数々の試練によって心がへし折られそうになるのを見ると、経験や知識よりも大事なのは「意思の強さ」であると実感します。セリフが少ないにも関わらず、パートナーに何度も「大丈夫だ」「すまない」と語りかける様子を通じ、彼の人と成りが自然に伝わるように計算されているのが見事です。 ------------------------------------------------------------ 一見すると主人公が傷ついたパイロットを救う物語に見えますが、挫折しそうになる度に彼を奮い立たせるのは、自分よりも弱い彼女の存在なんですね。「誰かを救う」強さを知ると同時に、「誰かによって救われる」尊さをしみじみと感じる秀作に仕上がっています。
6 likes0 replies