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2019年121本目はこんなに長いタイトルは久しぶり、『クローゼットに閉じ込められた僕の奇想天外な旅』です。 アジャの境遇に同情するところはありますが、彼は小さい頃から盗みや詐欺を繰り返してたくさんの罪を犯してきました。そんな彼がパリで出くわしたマリーと運命のように惹かれあい、ついには大金を手にするサクセスストーリーを見せられると非常に腑に落ちないものがあります。 ただ、彼に次から次へと迫り来るピンチやチャンスの数々は何だか現実味がなく、まるでおとぎ話のようです。アジャが何故こんな話をするのかが終盤に至って明かされますが、浮かび上がるのは夢物語とは遠い過酷な現実でした。インドは今や経済大国で優秀な人材を世界中に派遣しているものの、まだまだ格差は大きくインフラ整備も下位に位置します。 そんな実情を踏まえて本作を見直すと、どこからどこまでをウソ・ホントと考えるかで全く受け取り方の違う映画になると思います。全部がウソにせよ全部がホントにせよどちらを想像しても、後に残るのは少しでも明るい未来を想像してほしいというアジャの「優しさ」であり、嫌味のないちょうどいいバランスで仕上がった1本です。
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