
tamahide0319

Children of Heaven
Avg 3.6
97年イラン映画作品。モントリオール世界映画祭グランプリなど4部門受賞。今の時代に観ると少々古い時代で豊かな日本で暮らす私たちには少しギャップを感じるかもしれない。 この作品を観たのは中学生時代にレンタルビデオで。 当時ある映画批評誌で大絶賛されていたのが、観るきっかけとなった。 このレビューの終わりでは少しネタバレっぽい感想が含まれるので、ご注意を。 概要は 貧しい暮らしの家庭の男の子アリは、お使い中に直したばかりの妹ザーラの靴をうっかり廃品回収に持って行かれてしまう。 直った靴を兄が持って帰ってきたと嬉しそうにアリの帰宅を待っていたが、アリが靴を無くしたとガッカリ。 親に叱られたくないアリはザーラに靴を無くしたことを内緒にするよう約束する。 イランの学校では午前は女子、午後は男子と分けられているため、午前中はザーラがアリの運動靴を履いていき、ザーラの授業が終わると通学途中のアリと靴を交換する。そのためアリは学校にいつもギリギリで遅刻に厳しい教頭の目を光らせてしまう。 ある日、ザーラは全体集会のとき下級生の中に自分のだった靴を履いている女の子を見つけ、下校時にその子の自宅まで後を付ける。どうやら廃品回収の交換にザーラの靴を手に入れた様子。 後を付けていたため、いつもより遅く学校に到着し、遂に教頭から叱られるが、成績優秀なアリは出勤したばかりの担任に助けてもらう。 学校が終わるとアリはザーラに案内してもらい、ザーラの靴を履く下級生の家まで行く。家からザーラが出てくるが、直ぐに仕事へ向かう盲目のお父さんが出てきて下級生と戯れ合う。その様子を見た2人はとても靴を返してとは言えなくなる。下級生の家族も自分たちと同じ苦労して生活していると察したのである。 その後、アリは学校で大きなマラソン大会が開催されることを知る。あまり関心がなく校内選考会にも参加しなかったのだが、選考会翌日に学校の廊下でマラソン大会の賞品が掲示される。 3等には副賞で運動靴だったのを知り、体育顧問に今更遅いと追い返されながらも泣きながら神に誓ってマラソンに勝つと参加を懇願する。試しにタイムを測ると毎日妹と靴を交換し登校時間ギリギリを全力で走っていたため、体育顧問も納得のタイムだった。 妹にマラソン大会に出られると大喜びで知らせると、必ず3位になって運動靴をあげるからと約束する。 そのためにマラソン大会参加にあれだけ懇願したのだ。 2日後のマラソン大会の結果はいかに...。 政治も関係するが、イラン映画の特徴で子どもを主人公にした作品でもある。親に言えない小さな隠し事を一生懸命何とかしようと言う子どもの視点ならではの描き方。 最近では貧しいけれど、それでも家族がいたら幸せ、と言う作品は流行らなくなってきていると感じる。そのため大人になり、今の時代の視点でこの作品を触れると公開当時のような大絶賛はない気がする。 冒頭にも書いたが、私が初めて観たのは中学生の頃。まだ、アリたちといくつも変わらない。物が自由に手に入るお小遣いもなく、大事なものを無くしたりするとこの世の終わりみたいな気持ちになったこともある。親に隠し事をしたときに必死になってバレない方法を考えたりもした。つまりアリやザーラの気持ちは痛い程、分かる年頃だったため共感が大きかった。 中盤に庭師の仕事をする父の手伝いをし、お金持ちの家で仕事が出来て喜び合うシーンがあるのだが、大金を手にした父に僕より妹に靴を買ってあげてくれとお願いするシーンが1番お気に入り。このやり取りがラストの展開にさりげなくハッピーエンドの花を添える(ほぼネタバレ) 90分弱の短い作品でだが、非常に上手く話が纏まっていて感動もだけど、ニンマリ笑顔になれる作品だと思う。 タイトルの金魚も扱いが上手く、靴を洗いながらシャボン玉を作る2人の横出てきたり、ラストのマラソン大会後にボロボロになった足を冷やすアリの足の側にやってきたりと印象に残る。 邦題を考えた方には賞賛を贈りたい。出来るだけ若い内に、それも映画慣れする前に観るとストーリーに入り込める作品ではないかと思う。当然名作はいつ観ても名作に違いはない。