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きちんと教えてくれなかったから。だから突然わたしの前から消えてしまったのだと奪われたのだと、悔しさと哀しみで目の前がいつも霞んでいた。 道すがら、失くしてしまつたパズルのピースを拾い集めるようにひとつひとつ壊れてバラバラになった感情の欠片を見つけてゆく。 生きていたら理不尽なことばかりだし、幸せな瞬間なんて数えるほどしかないし、 『生き残ったもんは、食わなきゃな。』 だなんてなんだか呪いみたいだったけれど。だからわたしは、ごめんなさい とおもった。 かけるべきときになにも浮かんでこない言葉たち。寂しげに色褪せてゆくおもちゃ。 積み重ねてきたそれぞれの人生のことを、わたしはなにも知らなかった。 「風の電話」。それはいつも力強く優しく、風の鳴っている場所。 それは大切な言葉たちを纏い、空も海も撫でててどこまでも果てしもなく続いてゆく。
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