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てっぺい

てっぺい

2 years ago

4.0


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Everything Everywhere All at Once

Movies ・ 2022

Avg 3.4

Mar 09, 2023.

【ギャップ映画】 “おばさんがマルチバースするカンフーアクション”。中身は恐ろしいほどのB級感で大爆笑をさらいつつ、芯の太い家族愛というギャップで涙腺を刺激してくる秀逸作品。 ◆トリビア ○ 本作は『マインド・ゲーム』(湯浅政明監督)や『パプリカ』(今敏監督)、『もののけ姫』(宮崎駿監督)などの日本のアニメ作品からインスピレーションを受けていると監督が語っている。(https://gaga.ne.jp/eeaao/about/) 〇本作は第95回アカデミー賞作品賞、監督賞、主演女優賞、助演女優賞、助演男優賞など主要部門を含む最多の11ノミネートを獲得しており、本年度の大本命といわれている。(https://wired.jp/article/everything-everywhere-all-at-once-daniels-interview/) 本作は世界興行収入で1億ドルを超え、「A24」史上最大のヒット作となっている。(https://s.cinemacafe.net/article/2023/03/04/83867.html) 〇ミシェル・ヨーは、第80回ゴールデングローブ賞の最優秀主演女優賞(ミュージカル/コメディ)を受賞し、スピーチでは、喜びと共に、年齢を重ねた女優が活躍の機会を得る困難や、アジア人に対するハリウッドでの差別を吐露。美しい心身の秘訣として自らの肉体への感謝、見えないところでレッグリフトするなど、体のコア部分を絶えず動かす努力を続けている。(https://eiga.com/movie/96942/interview/2/) 〇キー・ホイ・クァンは「グーニーズ」(85)以来約40年ぶりの大型作品出演。監督がある日、『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』のキーの画像を見つけた事と、彼の復帰のタイミングが重なったことがきっかけ。本作で第80回ゴールデングローブ賞最優秀助演男優賞を受賞した。(https://eiga.com/movie/96942/interview/) この30数年「グーニーズ2」を作る計画があったが実らなかった。当時の監督も21年に死去しているが、クァンは再演に前向き。MCUドラマシリーズ「ロキ」シーズン2への出演も決定している。(https://www.cinematoday.jp/news/N0134563) ウェイモンドが持っていたショルダーバックは『グーニーズ』にて彼が装着していたガジェットベルトに酷似しており、オマージュと思われる。(https://sykmovie.com/post-969) ○エヴリンがレッドカーペットを歩くシーンは、ミシェル・ヨーが出演した映画『クレイジー・リッチ!』のプレミアのレッドカーペット映像など、実際のキャリアを記録した映像が使用された。(https://sykmovie.com/post-969) ○ 本作監督のダニエルズがカメオ出演。シャイナート監督は、エヴリンにSMプレイを執行される人物として、クワン監督はジョブ・トゥパキがベーグルを起動した後、最初に吸い込まれる男を演じた。(https://sykmovie.com/post-969) ○ エヴリンの父親が乗る電動車椅子は、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(1985年)に登場するデロリアンをモデルにした作りになっており、車椅子の背面にはデロリアン同様に家庭ごみを燃料として発電する超小型の核融合炉”ミスター・フュージョン”がある。(https://sykmovie.com/post-969) ○本作監督のダニエルズの出世作「スイス・アーミー・マン」の劇曲に「Everything everywhere matters everywhere」という歌詞があり、本作のタイトルはそこから繋がっている。(https://moviewalker.jp/news/article/1127032/p2) 〇エヴリンのADHD(注意欠如・多動症)という設定は、脚本を書いたダニエル・クワン自身が罹患した症状が元になっている。(https://wired.jp/article/everything-everywhere-all-at-once-daniels-interview/) 〇企画の初期段階では、主人公は父親、ジャッキー・チェンをキャスティングするという構想があった。(https://eiga.com/movie/96942/interview/) ○ 日本版イメージソングが、広瀬香美の新曲「プレミアムワールド」に決定。額の三つ目や、ソーセージの指など、本作の様々なシーンが映し出されるコラボMVが公開中。(https://s.cinemacafe.net/article/2023/02/09/83418.html) ◆概要 第95回(2023年)アカデミー賞作品賞、監督賞、主演女優賞(ミシェル・ヨー)、助演男優賞(キー・ホイ・クァン)、助演女優賞(ジェイミー・リー・カーティス)、脚本賞、編集賞受賞作品。 【脚本・監督】 「スイス・アーミー・マン」ダニエルズ(ダニエル・クワン&ダニエル・シャイナート) 【製作】 「アベンジャーズ」シリーズ アンソニー・ルッソ、ジョー・ルッソ他 【出演】 「シャン・チー テン・リングスの伝説」ミシェル・ヨー 「グーニーズ」キー・ホイ・クァン(本作で20年ぶりにハリウッドの劇場公開映画に復帰) 「ハロウィン」シリーズ ジェイミー・リー・カーティス 「シャン・チー テン・リングスの伝説」ステファニー・スー 「gifted/ギフテッド」ジェニー・スレイト 「クレイジー・リッチ!」ハリー・シャム・ジュニア 【公開】2023年3月3日 【上映時間】139分 【配給】A24 ◆ストーリー 経営するコインランドリーは破産寸前で、ボケているのに頑固な父親と、いつまでも反抗期が終わらない娘、優しいだけで頼りにならない夫に囲まれ、頭の痛い問題だらけのエヴリン。いっぱいっぱいの日々を送る彼女の前に、突如として「別の宇宙(ユニバース)から来た」という夫のウェイモンドが現れる。混乱するエヴリンに、「全宇宙にカオスをもたらす強大な悪を倒せるのは君だけだ」と驚きの使命を背負わせるウェイモンド。そんな“別の宇宙の夫”に言われるがまま、ワケも分からずマルチバース(並行世界)に飛び込んだ彼女は、カンフーマスターばりの身体能力を手に入れ、まさかの救世主として覚醒。全人類の命運をかけた壮大な戦いに身を投じる。 ◆ ◆以下ネタバレ ◆ ◆期待 あの「スイス・アーミーマン・マン」のダニエルズが、あのA24と世に放つ“おばさんがマルチバースするカンフーアクション”というだけで期待大。さらにそのマルチバースは「アベンジャーズ」のルッソ兄弟がプロデュースにつく本格派。「グーニーズ」のデータ役がロングブランクからカムバック、ついには本年度のアカデミー賞最多ノミネートというのだから、映画ファンとして見ない手はない。鑑賞前からこれだけ期待値が高まった作品は中々なかった。 ◆笑い フタを開けてみれば、“良い意味”での恐ろしいほどのB級映画感。父の靴の匂いで飛び起きるウェイモンドに笑、指がソーセージ化する別バース、セキュリティのおしり異物混入笑、その2人目笑、“レミーのおいしいレストラン”肩車笑(エヴリンが父の鼻水をぶっ込んだのも何気に大爆笑)。“行動がバカバカしいほどバースジャンプする”という、無理矢理ながら映画の魅力を最大限に発揮する設定が、もうこの映画の“勝ち”が決まったようなもの。その素晴らしい発想力のおかげで、映画館で手を叩いて笑ってしまうほど楽しめた。 ◆家族愛 ウェイモンドのおかげで、“相手に寄り添う”という戦い方を悟ったエヴリン。ジョイの“ガールフレンド”を父に紹介する心の広さを持てたことで、ジョブ・トゥパキと化したジョイの閉ざした心が解放されていき、また、父もそれを理解する。そんな家族愛の繋がりが、“ベーグル”に引き込まれるジョイの手を掴むエヴリン、エヴリンを離さない父、父を支えるウェイモンドという画作りで表現されていたシーンがとても印象的。マルチバースという広すぎる世界観を行き来するも根本は一つの家族の話で、バカバカしければバカバカしいほどこの家族愛という軸が引き締まる、そんなギャップの魅力がある作品だと思った。ラストシーンのように、監察官の話が相変わらずエヴリンの耳に入らずとも、ジョイも加わり4人で挑む監査なら、もうきっと何の心配もない。 引用元 https://eiga.com/amp/movie/96942/ https://ja.m.wikipedia.org/wiki/エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス