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音楽の付け方や、カメラワーク、彩度が強めの画面などに、明らかなヒッチコック・テイストを感じる。 そして、麗しの美女と怪しい紳士というカップル、情緒豊かな異国というロケーションが、先ずは映画的である。程なく事件が起こって、主人公が巻き込まれる。すなわち、完全な「巻き込まれ型サスペンス」であり、王道的で徹底したトラッドな作りに、懐かしさを覚える。 ただ、時代背景は60年代であり、だからこそのサスペンスとなっているのも確か。つまり、携帯やGPS、ネット環境など無い時代だから成立するストーリーであり、若い世代は、その点に違和感を感ずるかもしれない。 また、サスペンスであるが、ミステリーではない。あっと驚く大どんでん返しだとか、実はこうだったみたいなところは希薄で、その点も物足りない人がいると思う。 しかし、こういう映画には、やはり根強いフアンが多く存在すると思う。 私は、近年のスタイリッシュで、スピーディな映画も大好きだが、この映画のように、全に主人公の気持ちになって「のめり込む」ことが出来る映画も貴重だと思う。
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