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Till

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3 years ago

4.5


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Mad God

Movies ・ 2021

Avg 3.3

『スター・ウォーズ』や『スターシップ・トゥルーパーズ』などの特殊効果を担当したフィル・ティペットが監督を務めるストップモーション・アニメ映画。 ティペットは『スター・ウォーズ』シリーズや『ロボコップ』シリーズでストップモーション・アニメの巨匠として名を馳せるも、『ジュラシック・パーク』で挫折を味わう。同作の制作に携わった際、当初はストップモーションで恐竜を表現する予定だったが、CGで作った恐竜の映像をスピルバーグが気に入ったことで、彼はプロジェクトから外されてしまう。後に復帰し恐竜の動きの監修等を担当し、結果的にアカデミー賞で特殊視覚効果賞を受賞することになるが、このときにストップモーション・アニメの限界を感じ、ショックで肺炎になって2週間寝込んだという。一時は創作意欲が全くなくなってしまったそうだが、それでも時代の流れに対抗してストップモーション・アニメにこだわり続け、その道を究めていったティペット。そんな彼の集大成とも言える作品がこの『マッド・ゴッド』である。 制作期間30年と宣伝されているが、実際は30年前に制作を始めたものの、CGの台頭によってティペットが創作意欲を失ったことでプロジェクトは一度中断している。そこから20年後にティペット・スタジオのクリエイターが当時の人形やセットを発見し、彼らの熱望によって企画が再始動。クラウドファンディングの助けも借りてようやく2021年に本作が完成したという。 ティペットの長年にわたって培ってきたストップモーション技術のすべてが投じられた本作は圧巻の完成度で、そのグロテスクで不可解な世界観に魅了されっぱなしの84分だった。ストーリーはあってないようなもので、ひたすら何の脈絡もない熱が出たときに見る夢のような悪夢的な映像が流れ続ける。本人曰く現代的なテーマも盛り込まれているそうだが、正直あまりよく分からない。その点からも映像作品としての趣が強い作品と言えるし、独り善がりと批判されてもおかしくない作品なのだが、その独り善がりもここまでくればもはや文句はない。ヒエロニムス・ボスから影響を受けたというのも納得の常人には想像できないイマジネーションの数々に終始圧倒された。その常軌を逸したビジュアル・センスは言葉では説明できるものではないので、ぜひ実際に観て堪能していただきたい。 フィル・ティペットの変態的な趣味嗜好が詰め込まれたイカれた映画であることは間違いないが、唯一無二の存在感を放つ素晴らしい作品だと思います。