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直近で劇場公開された新作をレビュー、今回取り上げるのは『太陽は動かない』。産業スパイとして世界を股にかけ活躍する2人を描く、娯楽大作です。 ------------------------------------------------------------ ダメな邦画のパターンを羅列した見本市のような映画で、太陽が動く動かないの前に、見てる観客の心もまるで動かないであろう凡作でした。まず注意すべきは本作がWOWOWで放映していたドラマの「映画版」だということです。その事はあまり大きく喧伝されてませんが、序盤からドラマで重要な役割を果たした市原隼人の見せ場が登場するので、いきなり置き去りにされます。 ------------------------------------------------------------ 藤原竜也はいつものごとく大声で大袈裟な演技をさせられるのに、そこに大きな爆発音を被せられてしまい、言っていることが全然聞こえません。中国人の俳優を使うのはいいんですけど、カタコトで不自然な日本語を重要なシーンでも平気で喋らせるので、いつも以上に違和感がすさまじい。終盤の最も大事な台詞をピョン・ハヨンに喋らせ、そこにヘリの羽音を重ねて書き消してきたときには、作り手の意識の低さに唖然としました。 ------------------------------------------------------------ 過去と現在のシーンを行き来させ、『オーシャンズ11』ぽく演出する描写も今さらで古いし、逆に分かりにくくなっていてダサい。登場人物が回りくどい手口で事件に自分たちから足を突っ込んでくる意味も分かりませんし、意味ありげに出される初恋の人との思い出・出生の秘密にまつわるサブストーリーも何の回収もされないままで、全体の脚本が破綻してます。 ------------------------------------------------------------ ここ最近日本映画から遠ざかっていましたが、やっぱり酷いものは酷いままで、見終わったあとの腹立たしさが懐かしく感じたほどです。
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