Comment
先が気になり一気に観たくなるのは、東野さん作品ならではと思った。本作を含む創作物において、クローンを作りたい理由は、クローン生成によって実現されなくてもいいものばかりだ。そこに危うさを感じさせることで観る側に警鐘を鳴らしているのかもしれない。 ただ、誰もが自分の分身を求めている、という語りの一文には違和感があった。この展開の物語でそのフレーズを使われても、えっ?というかんじで、テーマってそれだっけ、と正直思った。生物学的なクローンを扱ってきたテーマに、精神の話を急に被せてきたような唐突な印象だ。 求めている分身があるとすれば、それは生物学的に完全一致している自分ではないと改めて思う。人は自分の分かれた半身を探している、というプラトンの饗宴を思い出したが、共有したいものは自分の内面にあって、外的な要素の自分ではない。 ラストの、車を降りてきた大切な人たちに駆け寄る二人は感動的だが、クローンとして利用する卑劣さ、みたいなものが浮き彫りになったところであのフレーズは急ぎすぎだと思う。あのフレーズを活かすなら、もう少し何か欲しかった。 ただ本作は長澤まさみの演技が光っていた。個人的には双葉の役柄がすき。歌もうまくてびっくりした。
This comment contains spoilers.
Be the first one to like!0 replies