Comment
【私的アニメーション映画50選】 ◇今は亡き今敏の監督デビュー作◇ 本作は今観ると、それほど珍しくない着想、ストーリーなのかもしれない。 しかし、公開されたのが1998年ということと、これがアニメーションで表現されたということを考えると、かなり先駆的な作品といえるのではないだろうか。  当時、今敏監督が本作に関して言っていた「アニメーションというジャンルはそれこそ何でも表現できるはずなのに、なんで美少女ものやSFロボットものばかりなんだ」・・・という意見は、ちょっと極端すぎるきらいがあるものの、一理あると思っていた。 個人的には、23年も前にサイコサスペンスをアニメでやろうとした気概は支持できる(監督本人は、サイコサスペンスを作っている意識はなかったらしいが)。 ひとりのアイドル歌手が女優への転身を図ったことから、次々起こる不可解な事件、殺人・・・しだいに追いつめられていく主人公の姿を、現実、夢、幻、妄想、劇中劇を錯綜させながら描く手法は、やや強引かなと感じる部分もあるが、それでも、何回観ても魅入ってしまう。 さらにあのオチはなかなか読めなかった。 私は初めて観た時、かなり意表を突かれた。 そして、本作はやはりアニメーションであるからこそ成り立っている作品だとも思うのだ。 特にクライマックスはアニメーションならでは。これが実写だったら、よほど巧く撮らないとひたすらチープになってしまうだろう。 キャラクター原案に江口寿史の名前を見つけてなぜだか「おおぉー!」となった映画でもある。
28 likes0 replies