
北丸
Parasyte: The Grey
Avg 3.6
原作既読だけど、最後に読んだのはかなり前の上、手放して手元にないので原作との違いの細かいとこはいえない。でも、これは間違いなく「寄生獣の映像化」作品だと思った。 勿論「原作の通り」ではない。舞台も時代も違う。舞台を韓国に持って行く、そして現代(或いは近未来)の韓国という設定にすることで、原作の通りにはなっていないが、映像化するにあたって、制作者がよくよく原作を読み込み、そのエッセンスを可能な限り抽出しようと試みたことは感じられる。その土台にあるのは原作者と原作へのリスペクトだろう。映像化はすべて原作通りにすれば良いというものでもない。こういった映像化の方法もあるのだと改めて感動した。おそらくは、原作者が見ても大満足の映像化ではないかと思う。(もし不満があるというのだったら申し訳ない) 全6話という短いドラマだが、そこに流れる「寄生獣イズム」は濃密。配信媒体ということもあって、グロテスク表現には全く躊躇がないし、それ故に「寄生生物の恐ろしさ」や寄生生物との戦いの壮絶さが伝わる。アクションも「寄生獣」のデザインも個人的には「こう言うのがいいんだよな~」という感じで好みだ。 主人公は原作と違ってアラサーの不遇な女性だが、ただただ不幸な女という設定にはなっていない。家庭内暴力のサバイバーであり、自ら父を通報し(儒教的価値観が支配する韓国ではおそらく極悪行動)助かった人。孤独に生きているけれど、世の中を恨んだり人間を嫌ったりはしていない。二面性を持つ主人公を演じるのは大変なことだったと思うけど、主演の俳優さんは見事に演じきっておられた。彼女の限らず、俳優さんの演じ分けが難しい役どころがいくつもあり、それを俳優陣がしっかりとやってくれたおかげで、物語の説得力が増す。 そして主人公の相棒となるチンピラがまた良い。臆病で小狡い男という役を時にコミカルに、時にシリアスに演じ「普通の人間」を体現してくれたおかげで、この物語に救いが生まれた気がする。割と絶望的な物語でもあるはずなんだけど彼のおかげで主人公の女性が救われているし、次への希望が見えた。俳優さんがそういう人物を丁寧に演じてくれたおかげだ。 なんとなく、これは「シーズン2」があるのではないかと思わせる終わり方も含めて、韓国制作陣には素晴らしい作品を生み出してくれたことに感謝したい。人類不朽の名作ともいえる原作があってこそではあるものの、普遍は決して「原作通りが絶対正しい」訳ではないことをここに示してくれた。