
cocoa
The Hill of Secrets
Avg 3.2
邦題は「秘密の丘」。 90年代の韓国で一人の少女の揺れ動く心の内を描いた作品です。 とにかく主演の女の子が良い。 演じるムン・スンアちゃんは過去にもいくつか作品を観ているけど、今回は代表作と言って良いほど素晴らしかった。 小学校5年生のミョンウン(ムン・スンア)は雑貨店でずっと何かを選んでいる。 ラッピングしてもらい飾るリボンをやっと決めたのに家に帰って、またお店に行ってリボンを替えてもらう。 それは担任のキム・エラン先生へプレゼントだった。 ミョンウンの目的は… 「家庭環境調査の面談を教室ではなく会議室でやってほしい」と手紙に書いたのです。 クラスメートのいる所で先生との面談。 両親の仕事を詳しく聞かれる恥ずかしさがミョンウンにはある。 いつも汚れた服と帽子、長靴で塩辛屋をやっている母。 なにも手伝わずに店では寝てばかりの父。 だから先生には父の仕事に嘘をつき、母は普通の専業主婦です、と話すのです。 この辺りのミョンウンの悩みはある程度わかる。 人々が憧れるような両親であってほしい、とか。 年頃になって家や家族を恥ずかしく思う時期ってあると思った。 でもミョンウンの行動はちょっとやり過ぎ。 ビルの企業…(エレベーターの会社?)に出向き、突撃インタビュー。 ミョンウンが断られているのをかわいそうに思った男性社員がインタビューに答えてくれる。 ツーショットの写真を撮った辺りでミョンウンの考えは予想できた。 それから旧知の友人宅に泊まってそこのおばさんを母に見立てる。 すべて写真に撮って家族アルバムを作るミョンウン。 疑似家族の姿を友達に見せるって行動力がすごい。 いずれ生徒会長を目指すミョンウンが5年生のクラスで学級委員に選ばれる。 「秘密のポスト」の投書を自ら偽装する姿は痛々しい。 多くのアイデアでクラスを活性化させて、担任の先生に認められるミョンウンだったけど、何が彼女をそこまでさせるのか。 家族…特に母親から認められたいのか、承認欲求から来るのか、ミョンウンのころころ変わる表情は見ていて苦しくなった。 そこへソウルから転校生が来る。 双子…(と最初は言われていた)ヘジンとハヤン。 2人の正直な感性と生き方はその後のミョンウンに影響していくのです。 ヘジンが言うのは… 「父はいません」 「母はキャバレーを経営してます」 その後もヘジンとハヤンは今までの転校続きに対してきっぱりと作文に書く。 「両親の離婚と母の職業でずっと転校を繰り返し陰口を言われていた」 「私たちはもう戦わない」 「先生の仲裁で無理に仲直りする気もない」 「私たち2人の平和を考えている」など。 嘘を重ねるミョンウンと対称的に覚悟と正直さを持ったヘジンたち。 これは誰でも真似できるものではないと思った。 市の作文コンクールに正直な気持ちで書いたミョンウンは何と「大賞」を獲ってしまう。 それに対して初めて戸惑うミョンウンだった。 賞は欲しいけど公開したくない。 辞退したい…と学校を巻き込み話し合う。 その辺の揺れ動く気持ちは本当に辛そうだった。 6年生になって新しい担任は男の先生。 新学期恒例の家庭調査の紙には、高卒の両親、塩辛屋、と正直に書いたミョンウン。 すると家庭のことは良いから、君たちのことを知りたい。 紙の裏に自分のこと、好きなこと、何でも良いから書いて、と先生は言う。 その言葉に嬉しそうな表情のミョンウン、得意な文と絵を書いている姿がとても良かった。 子ども時代は他の家族を羨ましく思ってしまう、そんなもの。 もうすぐそれに気付くミョンウンの成長に期待したい。 大人からしたら何でもないような事だけれど、学校のクラスの小さな社会で必死に生きる子ども達。 思いの外、考えさせられる作品でした。