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cocoa

cocoa

3 years ago

4.0


Thirteen Lives

Movies ・ 2022

Avg 3.9

原題は「Thirteen Lives」、邦題は「13人の命」です。 2018年にタイの洞窟から出られなくなった少年たちの救出活動を描いた実録映画。 当時のニュース報道や、映画「THE CAVE サッカー少年救出までの18日間」を観ているので、壮絶な救出劇や実際の犠牲者の詳細は知っていたけど、圧倒されるシーンが多く、さらに脚本も優れていて147分間の長編ながら一気に観られました。 さすがロン・ハワード監督!! 2018年6月23日。 タイの少年サッカーチームの子ども達は練習後にタムルアン洞窟に遊びに行きます。 少年12人とコーチ、合計13人。 しかし天候が悪くなり一気に洞窟内は水が流れ込み、出られなくなる。 夜になっても帰らない子ども達の家族が騒ぎ出し、県知事や海軍特殊部隊の兵士、そして大臣まで駆けつける現地。 そのニュースを知り、遠くイギリスから捜索に参加するため洞窟ダイバーのリック・スタントン(ヴィゴ・モーテンセン)とジョン・ボランサン(コリン・ファレル)がやってくる。 タイのダイバーが苦戦する中、リックとジャンが潜った洞窟内がすごい。 狭い空間だけでなく、上から鍾乳石の柱がいくつも下がり複雑な内部。 さらにU字になった箇所をタンクを抱えて潜る姿が見ていて息苦しくなる。 状況が変わったのは10日目。 リックとジャンがいくつもの空間を抜けてT字路を抜け通称「パタヤビーチ」の地点に着く。 その後、臭いがするとリックが言い、その先に13人の生存が確認される。 喜ぶ子ども達だが発見したリックの複雑な表情がたまらない。 「生きていたとは…。」 入り口から2500メートル、所要時間6時間12分の地点でした。 謝るコーチを庇う少年達。 出口を作るために穴を掘っていた少年も。 パニックになってもおかしくないのにリックたちにお礼を言う彼らの姿を見ていろいろ感じたのだろう。 少年達の映像を撮って出口でカメラを渡した時に「見せる人を選べ」と言ったリックの気持ちがとてもよくわかる。 さてここからが正念場。 「(遺体を)見つけるために潜った。まさか生きているとは…」とリック。 無事に喜ぶ家族や地元民、軍関係者や世界中から訪れた報道陣。 そんな中で複雑な表情のリックとジャン。 ダイバー仲間のジェイソンと若いダイバーのクリスも合流。 さらにある計画を考え、麻酔科医でもあるダイバーのハリー(ジョエル・エドガードン)も呼ぶ。 リックたちの提案に動揺するハリー。 倫理的に受け入れられないやり方に戸惑うハリー、その辺の葛藤が見事に描かれていて胸を打つ。 待っていても遺体回収しかない、運が良ければ一人か二人、三人ぐらいは助けられるか…。 現場では救出に向けて準備が進み、主にダイバー5人で立ち向かう。 子ども達に麻酔ケタミンを打ち、荷物のように運び出す作戦…。 もちろんアクシデントもあり、ベテランダイバーの彼らも心身疲れきる様子がリアルに伝わってくる。 アクシデントで道を失ったクリスの後を請け負い、子どもを運んだハリーの優しさが良かった。 「俺も助けたと言いたいから」と柔和な笑顔を見せるジョエル・エドガードンが素敵だった。 現地では多くのボランティアが活動し、山で洞窟への流水を食い止める水道技師サネットや老人の仕事振り、さらに水田に水を放流することを許可した農民たち。 みんな子ども達のために決断したのです。 更迭が決まっていた県知事ナロンサックと軍の難しい関係もしっかり描き、ここまで完璧な描き方はないのでは…。 確かに犠牲になった方は出たけれど、協力し合うダイバー達の決断と実行が実を結んだ結末。 大好きなヴィゴ・モーテンセンの坊主頭とクリームビスケットを欲しがる姿が好き。 潜水のシーンもスタントではなく訓練を重ね実際に狭い空間のシーンを演じた姿にも喝采。 とにかく脚本や撮影も素晴らしく、壮大な映画をしっかり作り上げたロン・ハワードに改めて拍手を送りたいです。 Amazonプライム配信とはもったいない。 それほど優れた作品でした。 (ミニ情報) タイが舞台だからやっぱり大臣役はヴィタヤ・パンスリンガムでした。 背中に武器は背負っていなかった…。