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2020年39本目は名女優3人が揃い踏み、メディア界の大物によるセクハラ訴訟を取り上げる『スキャンダル』。 ------------------------------------------------------------ アカデミー賞を受賞したカズ・ヒロ氏の凄業が光る一作で、横から見るとシャーリーズ・セロンに見える瞬間も無くはないですが、正面から捉えた顔立ちにはまるで面影がなく完全に別人です。声を聞いてやっと彼女だと判別できるレベルで本当に驚きました。シャーリーズ・セロンは見るからに「強い女」のイメージで、自らが置かれた立場に苦悩しながらも、持ち前の芯の強さで自分なりの正義を貫きます。 ------------------------------------------------------------ 一方でニコール・キッドマンは常に平静を保ちながらも、怒らせたらマジでヤバそうな「闘志を内に秘める」タイプ。彼女の決断がすべての始まりを告げたわけですが、確かに3人の中で口火を切るとしたら、彼女以外にはありえないでしょう。そして、多数のセクハラ被害の証言から複合して作られた架空のキャラクターでありながら、現実と理想の間で揺れ動くケイラをマーゴット・ロビーが実在感たっぷりに演じます。この3人のせめぎ合いだけでお釣りが十分貰える仕上がりです。 ------------------------------------------------------------ 一部の女性がセクハラ被害を受けてもなお加害者を擁護する様を見ると、ハラスメントがある種の「精神的な洗脳」に近い行為だと気づかされます。セクハラやモラハラの犠牲になると、加害者に二度と抗えないような気持ちになり、身も心も支配されてしまうんですね。FOXが舞台なだけあって、アメリカのニュース番組や司会者・政治的な側面に明るくないと付いていくのが厳しい面はあれど、女性のエンパワーメントというホットな話題としても今見るべき映画だと思います。
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