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star5.0
この映画を初めて見たのは中学生のときで,当時の私は映画やアニメを全く見ず,またそれらをひどく毛嫌いしており,よくアニメ好きの友人をからかったりしていた。その友人が半ばキレ気味に薦めてきたのがこの作品で,捻くれ者であると同時に努めて素直であった私は大人しくこの映画を鑑賞し,度肝を抜かれた。僅か2時間の中に私の理解力を遥かに越えるディテールが詰まっていたのだ。これが理解出来たらどんなに楽しいだろうと思ったものだ。  今にして思えば,当時の私があまりに無知蒙昧な子供であったことも災いしたのだろう。とにかく,その日以来,この映画は私にとって最上の娯楽となった。学校から帰宅するのが16:30で夕飯が18:30だったので,その間の2時間は毎日この映画を見た。中学2年時はこのルーティンを欠かさなかった。中学校の授業日数は200日,加えて夏休み中も鑑賞していたので200回以上見たことになる。  今にして思えば,何遍も見るのではなく,その作品の背後にある教養を獲得する努力をすべきだったろう。しかし,当時あまりに無知蒙昧であった私はそんな事を考えもしなかった。とにかく,見る度に判明するディテールが楽しかったのだ。一見無意味に思えたディテールが実は作品そのものの根幹をなす要素であり,鳥や魚や空模様,ナトリウム灯に至るまであらゆる要素が厳密なレイアウトの下に散りばめられ,どんな台詞よりも雄弁に心を語っている事に気づき,物語なるものの素晴らしさを思い知ったとき,映画やアニメを食わず嫌いしてきた事をひどく悔いた。  以来,それまで無為にしてきた分を取り返すつもりでたくさんの映画,アニメ,特撮,漫画を見るようになり今に至る。  映画で人生が変わるなどというのはオタクの盲言にすぎないが,もしこの映画を見ていなかったら私は内面的,対外的に今とは決定的に異なる性質の人物になっただろうと思う。今では年に2回程しか見なくなったが,この映画は私にとって最も大切な映画である。
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