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2020年67本目は、実際に起こった猟奇殺人事件をもとにして描かれる迫真のサスペンス『暗数殺人』。 ------------------------------------------------------------ 『殺人の追憶』や『V.I.P』など狂った殺人鬼を描く韓国映画は数々ありますが、本作ではドスレートなド畜生をチュ・ジフンが熱演しています。こいつときたら刑務所に入ってからも金をせびって証拠をちらつかせ、法廷に引きずり出したと思ったらウソをついて人を騙す。最低のゲス野郎とはまさにこのことで、見ている私の方が殺意でどうにかなりそうでした。 ------------------------------------------------------------ ここまでは良くある展開ですけど、本作で注目すべきは殺人を立証するため、執念を燃やし続けるキム刑事でしょう。『哀しき獣』では牛骨で人を叩き殺していたキム・ユンソクが、今回は打って変わって寡黙な刑事を演じます。後半で何故ここまで迷宮入りした事件の解明に必死になるのか、一応の理由は示されるものの、根拠としては少し弱い気がします。つまる所、彼には特に個人的な理由はないんです。 ------------------------------------------------------------ ただただ、犯罪が許せない。被害者の遺体も見つからず、遺族に悲しい思いをさせ続けるなんてことがあってはならない。私情が一切ないからこそ、刑事という職業にかけるプライドがビシビシ伝わってくるようで、逆に心打たれるものがありました。あまり捻りのないストーリーですが、実際に釜山で起きた殺人事件に基づいている事を踏まえれば、大げさな脚色や誇張はできなかったのでしょう。
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